物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのではないでしょうか。
「6才、4才、3才の3匹のトイプードルを飼っています。6才の子は警戒心が強く、散歩の時に他の犬に出会うとすぐに吠えます。その声につられて、残りの子たちも吠えて大変! 大人になってからでも吠えグセを直せますか?」
静岡県・もみじ(40才・自営業)
この悩みに、しつけ教室・犬の保育園SKYWAN! DOG SCHOOL代表の井原亮さんが答えてくれた。
* * *
犬を全く吠えないようしつけるのは、人間に全くしゃべるなというようなもので、不可能です。しかし、吠えてもメリットがないことを犬に理解させることで、無駄吠えは減らせます。
散歩中に吠えるのは、恐怖心のほか、吠えた後に飼い主から、声かけや抱っこをしてもらった経験がある場合が多いんです。つまり、“吠えればいいことがある”と誤って学習してしまったのです。また、多頭飼いの場合は、仲間の犬に「犬が来たぞ」と伝えるためなど、さまざまな理由が考えられます。
恐怖心から吠えている時に叱っても、犬にしてみれば、“余計怖い思いをした”としか記憶に残らず、根本的な解決にはなりません。
犬は一度吠えただけで、脳内に興奮物質アドレナリンが分泌され、興奮状態になります。アドレナリンは短くても4~5時間、長いと3~4日も残るといわれており、一度アドレナリンが分泌されてしまうと、吠えやすい状態が続きます。つまり、吠えた後の対応では手遅れ。吠える前に対処することがポイントです。
犬は目に入ったものに吠えやすく、まずはなるべく他の犬に出会わないように道を変えましょう。道を変えられない場合は、愛犬が他の犬を見つける前に、おやつなどで飼い主に集中させ、目線を外します。これを繰り返すうちに「他の犬を見つけるとおやつがもらえる」と覚え、無駄吠えがなくなります。
そして次第に、他の犬を見つけると、飼い主の方を見る習慣がつきます。そこまできたらもう安心。おやつの回数を2回に1回などに減らし、そのかわりに触ってほめてあげたり、一緒に走って遊ぶなど、報酬をすり替えていくのもOKです。
トレーニングには個人差はありますが、2~3か月は必要です。少し時間がかかりますが、大人になったわんちゃんでも、無駄吠えをやめさせることは可能です。
愛犬と快適に暮らすには、飼い主側の我慢や忍耐も不可欠です。信頼関係を築くには、気長に、あきらめずにしつけを続けることが大切なのです。どうしてもできない場合は、プロのトレーナーに相談するのもおすすめです。
※女性セブン2016年7月14日号