コラム

変動金利で20年超の住宅ローン 固定への借り換え検討も

住宅ローンの借り換えを検討すべき人は?

 日銀によるマイナス金利の導入で住宅ローンの借り換えブームが起きている。どのような乗り換えならメリットが大きいのか、ホームローンドクター代表で住宅ローンコンサルタントの淡河範明(おごう・のりあき)氏が解説する。

 * * *
 マイナス金利の導入により個人が受けられる恩恵の中で最も大きいのは、なんといっても住宅ローンだ。2016年5月現在、住宅ローン金利はメガバンクでも10年固定で0.8%をつけるなど史上最低の水準にある。住宅購入の予定がある人には有利な追い風となるだけでなく、すでにローンを返済中の人も借り換えることで負担を大きく減らせる可能性がある。

 ただし、借り換えの手続きにも事務手数料や保証料などの諸費用がかかる。これらの諸費用は合わせると、安くても50万円程度、多いと100万円以上かかることもあるため、実質的な負担を減らすには諸費用を大きく上回るメリットが必要だ。個別のケースにより異なるものの、「金利差が1%以上」「ローン残高が1000万円以上」「残りの返済期間が10年以上」のいずれかひとつでも満たしているなら、借り換えを検討してみる価値はある。

 変動金利で20年を超えるローンを組んでいる人や2000万円以上の残債がある人は、固定金利への借り換えを検討したい。ローン商品によっては変動と固定の金利が逆転しており、総返済額を減らしながら固定金利に借り換えることも可能になっている。もちろん、総返済額が増えるケースもあるが、ここまで割安な水準で金利を固定できる機会はもう来ない可能性は高い。

 もちろん、今後さらに金利が下がるようなことがあれば、変動金利のままでいるほうが返済額が少なくて済むわけだが、それはあくまで結果論だ。金利が上ぶれすれば総返済額が数百万円、ひどいと1000万円以上増える可能性もあり、家計の余裕が小さい人ほど出費のブレを運まかせにするべきではない。特に自営業などで収入が一定でない人は、ローンの返済額は固定しておくのが安心だ。

 現状、最も金利が低いのは最初の2~3年の金利が固定される短期の当初固定型だ。しかし、固定期間が終われば引下げ幅は大幅に縮小されて金利は上がるうえ、上がった後の期間のほうが長い。将来の金利水準を厳しめに見積もった総返済額もシミュレーションしながら慎重に選ぶ必要があるだろう。やはり最も安心なのは全期間固定だが、残りの返済期間や残債額によっては金利水準が魅力的な10年固定を選ぶのも手だ。

 難しいのは金融機関とローン商品の選択で、これは一筋縄ではいかないと覚悟しておきたい。総返済額は借入れ時の金利に加え、借りる人の信用度によって変動する保証料や金利の優遇幅、将来の金利や手数料、固定期間の終了後の優遇幅など数多くの変数がある。

 しかも、同じ金融機関の異なる商品をミックスすることも可能なので、最もお得なプランを選び出すことは専門家でも難しい。まずはリスクマネジメントの観点から返済期間や固定期間を絞り込んだ上で選びたい。

※マネーポスト2016年夏号

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン