芸能

三遊亭円楽 母が泣いて謝るのを見て万引きがダメと判った

母・ヨネ子さんと(三遊亭円楽)

 男にとって生まれて最初に接する異性である母の愛のありがたみは、遠く離れてみて初めて気づくことがほとんどだろう。「瞼の母」の思い出を、落語家の三遊亭円楽(66)が語る。

 * * *
 母ちゃんはずっと働いている人だった。食事をしているとか、横になっているという姿が記憶にないほど。

 父ちゃんは仕事があんまり好きじゃなくて、世話好きでね。いつも家には居候がいた。金もないのに人の世話をして、働くことも金の工面も、全部母ちゃんが後ろでやっていた。苦労したんだよ。

 でもね、写真を見ればわかるけど暗い顔をしていない。明るいの。あっけらかんとしていた。ないもんはしょうがねぇって。

 ウチの師匠(故・五代目三遊亭圓楽)は母ちゃんが好きだった。「おめぇの母ちゃんは下町らしいな。おしゃべりでお調子もんだ」「やですよ、師匠」なんてね。俺も、酒好きでおしゃべりなところは母ちゃん似だね。

 でもおしゃべりと言っても口うるさいわけじゃないんだよ。

 俺が小学生の時に浅草のデパートでブリキのおもちゃを万引きしちゃって一緒に謝りに行ってくれたんだけど、その時も多くは語らない。見せるんだよね。「こいつがバカですみません」って頭を下げる。親が泣いて謝るのを見たら、もうしちゃダメと判る。

 だから、すごく叱られたこともない。「私は何もしなかったよ、この子には」と前に言っていたことがあったけど、確かに放任だった。

 でも節目、節目の肝心な時にはいつも親が背中を見せてくれた。『藪入り』『子別れ』といった噺をやると親が見えてくるよね。投影すると、こうなっちゃうもん(涙が出るポーズ)。

●さんゆうてい・えんらく/東京都生まれ。1970年、青山学院大学在学中、五代目三遊亭圓楽に入門。1977年、27歳で『笑点』大喜利メンバーに。1981年、真打昇進。2010年、三遊亭楽太郎改め、六代目三遊亭円楽を襲名。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

関連記事

トピックス

殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン