60歳定年から65歳定年へと時代は移り、かつての職場から再雇用される例も増えている。しかしながら、現役バリバリだった時代と同じような態度でいては単なる「老害」扱いをされ、煙たがられることもある。せっかく60歳を過ぎても働けるのであれば、より快適に働きたいものである。
再雇用先でうまくやっていくにはどうすればいいのか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏はいう。
「昔取った杵柄で、余計なことをしたくなりがちですが、それが墓穴を掘る原因になる。相手に相談されるまでは、口を出すのは控えること。そして相談されたことに対して意見をいうのはいいが、自分から説教じみた話は絶対にしない。
また、飲み会には一切顔を出さないほうがいいですね。飲むとつい余計なことを口にしてしまうので。いまの職場にいたいなら、口数を少なくし、定時に帰る時には『お先に失礼します』ということ。こちらから少し距離を置くくらいのほうが精神的にも安定するのです」
その点、大手不動産会社に再雇用された61歳男性は、新しい職場でうまくいっているケースといえる。
「親会社の系列の派遣会社で働いています。自分は部下に対して偉そうに指導するタイプじゃなかったし、いまは派遣の立場だから『なんでもやります』という感じ(笑い)。だから、他の社員との軋轢は感じません。
変に若い社員とうまくやろうと思うから失敗する。楽な仕事をさせてもらって、安くなったとはいえ給料が貰えるんだから、ありがたいと思っていますよ」