成層圏よりも遥か彼方、宇宙まで遺骨を送る“究極の散骨”もある。米シリコンバレーのベンチャー企業、エリジウムスペースは1cm四方の専用カプセルに格納した遺灰を小型人工衛星に搭載し、地球周回軌道に送る「流れ星供養」(30万円)の受け付けを行っている。
打ち上げ予定は来年後半とのことで、90分に1周の速さで地球を周回する遺骨は、専用のアプリでスマホやタブレットから逐一位置が確認できるという。同社取締役で日本市場を担当する金本成生氏が説明する。
「人工衛星は数日~数年の期間地球を周回し、最終的に大気圏に再突入し、流れ星となって燃え尽きます。すでに日本では40名の申し込みがあり、宇宙に対する憧れの深さ、宇宙葬の潜在的ニーズもますます高まっていると実感しています」
また、同社では月着陸船に遺灰を乗せる「月面供養」(120万円)も予定。『銀河鉄道999』でお馴染みの漫画家、松本零士氏も生前葬として参加。髪の毛を送るという。
これら故人や遺族の希望に合わせた散骨葬法は、決まった形式や法規定がないだけに賛否両論もあろう。だが、2030年には現在より2割以上多い160万人の年間死亡数が推計(国立社会保障・人口問題研究所)される中、生前に自分らしい「おくられかた」を考えておくことは必要だ。