東京大学病院では、10歳未満の小児に対しては脳への負担を考慮し、間接+間接血行再建術を行なっている。10歳以上では、直接+間接血行再建術を行なう。いずれの治療も、合併症が極めて少なく、長期の治療成績もよい結果を得ている。
「もやもや病は、日本を中心とした東アジアに多く、欧米には少ないうえ、家系内での発症が相当数みられることから、遺伝的な要因が疑われていました。近年、日本の複数の研究機関で、もやもや病に関連するRNF213という遺伝子が同定されました。もやもや病では約85%が、このRNF213遺伝子多型(個人差)がありました。日本人の2%は、この遺伝子型を持っていますが、発症するのはごく一部です」(今井特任講師)
もやもや病の発症は、この遺伝子の多型があるだけではなく、環境や生活習慣など複雑な要因が重なることで起こる。そのため、患者に対する適切な診断と治療を行なうには、専門病院での検査・診断が望ましい。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年9月9日号