ビジネス

携帯電話契約の納得できぬ手数料と値切れる不動産更新料

不動産の更新料はバカにならない

 多くの人が「理不尽」と感じる手数料は、銀行口座から預貯金を下ろすだけで発生する「引出手数料」だ。1回0~108円、時間外だと108~216円かかる。

 全国の銀行116行の手数料収入を示す「役務取引等利益」は、2兆3994億円で、銀行の収益(業務粗利益)全体の21.2%を占めている(2015年度・全国銀行協会調べ)。これほど濡れ手に粟の商売はない。

 手数料ビジネスは銀行以外でも花盛りだ。例えば賃貸物件に入居する際に不動産業者に支払う手数料だ。契約時の「仲介手数料」の他に、更新時にも「更新手数料」が取られることが多い。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。

「賃貸の仲介手数料は宅建業法で借り手か貸し手のどちらかから1か月分の家賃相当額を上限に取っていいことになっています。

 しかし、更新手数料には法的根拠がないため、金額は不動産屋が独自に決めているのが現状です。更新手数料は、住宅不足で売り手市場だった時代の慣習でしかない。裏を返せば、契約書に更新手数料と明記されていても『値切り交渉』の余地があるということなんです」

 同じく「慣習」に基づいて手数料を取られているものに、携帯電話の「契約事務手数料」がある。携帯電話業界に詳しいジャーナリストの新田ヒカル氏が話す。

「携帯3大キャリアのNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは横並びで新規契約時に3240円の契約事務手数料を取っています。

 固定電話を自宅に取り付ける際、昔は回線の取付工事などの実作業があったため手数料を取っていました。携帯電話の新規契約でも手数料を取っているのはその名残で、コンピュータによる手続きだけで使えるにもかかわらず手数料を徴収しているのです」

 窓口で取り扱いを説明したり、書類の書き方を教えたりしている販売員を見ると手数料が発生するのも仕方ないようにも思えるが、本来それは「キャリア側が新規顧客獲得のためにかける手間」のはず。それを肩代わりさせられているようで、やはり釈然としない。

 手数料がかかる理由についてNTTドコモ広報部に問い合わせると、

「個人情報の登録などの事務処理にかかる費用として事務手数料をいただいております。窓口にくる代わりにオンラインで手続きをしていただければ、手数料を減額させていただいています」

 結局、どちらにせよ消費者の負担は少なくない。

※週刊ポスト2016年9月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン