ライフ

ヨハネ・パウロ二世 「私を銃で撃った犯人を許す」の意味

医師・僧侶の田中雅博氏

 2014年10月に最も進んだステージのすい臓がんが発見され、余命数か月であることを自覚している医師・僧侶の田中雅博氏による『週刊ポスト』での連載 「いのちの苦しみが消える古典のことば」から、ヨハネ・パウロ2世の「私を銃で撃った犯人を許す」という言葉の意味について紹介する。

 * * *
 ローマの話を3回書きましたが、毎回ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が登場しました。そもそも仏教僧侶の私がローマ教皇庁の国際会議に招待されたのも、元を辿ればヨハネ・パウロ2世の影響です。彼は異教徒と争った過去を反省し、他宗教との対話を呼びかけたのでした。

 ヨハネ・パウロ2世は現代の人ですが、その葬儀に各国首脳を含め世界中から500万人も集まったことだけを考えても、まちがいなく彼の言葉は古典となって将来も読まれ続けることでしょう。

 彼は過去に行なったローマ教皇庁の過ちを100件以上反省し謝罪しました。例えば十字軍の歴史を反省し、イスラムに、そしてユダヤに、プロテスタントに、各地の民族宗教や伝統文化に、そして前回書いたジョルダーノ・ブルーノやガリレオ・ガリレイに、また奴隷貿易に関わったことに、等です。

 更に、ナチスの大量虐殺に反対しなかったことなど、不作為の罪にも謝罪しました。また「空飛ぶ教皇」としても有名で、世界100か国以上を訪問しています。プラハを訪問した際には、異端判決で1415年に火炙りの刑になったヤン・フスに謝罪しました。火刑に際してのヤン・フスの言葉「真実は勝つ」はチェコ共和国の旗に書かれています。

 バチカン放送局のホームページを見ると「紀元2000年には大聖年の開幕を告げ、これを機会に世界中の信徒に回心と償い、赦しと和解、新しい希望を呼びかけると同時に、過去の歴史の中でカトリック教会の子らが犯した様々な罪を認め公式に謝罪した」とあります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
ドラマ『Believe -君にかける橋-』で木村の妻役で初共演
初共演・天海祐希もハイテンションに! “木村拓哉の相手役”が「背負うもの」と「格別な体験」
女性セブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン