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ロシアへの経済制裁の“抜け道”となっていた、イスラエルとロシア正教会の関係
ロシアへの経済制裁の“抜け道”となっていた、イスラエルとロシア正教会の関係
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから4か月が過ぎた。この間、欧米をはじめとする西側諸国はウクライナを支援する傍ら、「経済制裁」によりロシアに圧力をかけ続けている。米国のデータ分析サイトによると、西側諸国がロシアに発動した制裁は、個人の金融資産凍結、国際的な決済ネットワークSWIFTからの排除、ロシア産原油の禁輸など、1万件を超えたという。しかし、ロシアのプーチン大統領は6月17日、「欧米による経済制裁は失敗」と明言している。ロシアへの経済制裁にどのような抜け道があるのか。そしてそれを塞ぐ手立てはあるのか。歴史作家の島崎晋氏が考察する。 * * * 6月16日、ロシアのウクライナ侵攻に関して、イギリス政府はロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教に対し、ウラジーミル・プーチン大統領への支持とウクライナ侵攻への賛同を理由に制裁を科すと発表した。これにより、キリル総主教の英国内の資産が凍結され、イギリスへの渡航が禁止される。制裁対象となったロシア正教会の総主教キリルとはどんな人物なのか。 聖職者の家に生まれたキリルがモスクワ総主教に就任したのは2009年のこと。就任当初からプーチンと歩調を合わせ、〈2012年には、プーチン氏の統治こそソビエト連邦崩壊後の経済的混乱に終止符を打った「神の奇跡」だと評し、「ウラジーミル・ウラジーミロビチよ。あなたは、わが国の歴史のねじれを修正するため自ら大きな役割を果たした」と称賛した〉という(AFP通信2022年5月15日付「クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教」より)。 その後も同性婚や性的多様性を罪と宣言するなど、保守的な態度を取り続けた。今回のウクライナ侵攻に関しては、〈軍事作戦を支持し、「国内外の敵」と戦うため結集するよう信者に呼びかけ〉るとともに、〈ロシアとウクライナの歴史的な「一体性」に反する「悪の勢力」との戦いについて語〉るなど、プーチンへの支持は揺るぎない(前掲記事より)。 このため、欧州連合(EU)欧州委員会がロシア産石油の段階的禁輸を含む対ロシア経済政策の一環として、ロシア政府関係者58人に対する経済制裁を検討した5月には、キリル総主教の名もリストに含まれていたのだった(その後、EU加盟国のハンガリーが反対したため、キリル総主教の名はリストから外された)。 今や国家権力の中枢に位置するロシア正教会だが、その歩んだ道のりは平坦ではない。15世紀に東方正教会から独立して以降、ロマノフ朝の前期(17世紀半ばまで)はツァーリ(皇帝)をも譲歩をさせる存在だったが、ピョートル1世(在位1682〜1725年)による改革を経て、ロマノフ朝が滅亡するまでの200年間は独立と自治権を失い、国家権力への従属を余儀なくされた。 神と宗教を否定した共産主義国家ソビエト連邦(ソ連)のもとでは、従属どころか完全なる冬の時代を耐えねばならなかったが、1985年のゴルバチョフ政権成立とともに雪解けが始まる。その後、ソ連の解体とエリツィン時代を経て、第1次プーチン政権が成立した2000年頃にはみごと復活。財政難のロシア政府に社会的弱者を救済する余力がない状況下、ロシア正教会は困窮者への給食サービスを続けた。イスラエルのロシア系ユダヤ人 2010年の統計によれば、信者の総数は9000万人。世界最大の独立正教会組織として知られ、その財源は信者からの寄進が基本だ。ロシア正教会の財力を考える上では、大口の寄進者と思われるオリガルヒ(新興財閥)に加え、国外に散在するロシア人コミュニティーも無視できない。なかでも最大のコミュニティーは中東のイスラエルに存在する。 1980年代以前、イスラエルに居住するロシア系住民は少数の聖職者に限られた。それがソ連末期になり出国規制が大きく緩められると、「ユダヤ人」としてイスラエルへ移住する人びとが続出。その数はわずか数年で100万人にも達した(臼杵陽『イスラエル』岩波新書)。 イスラエル政府は受け入れる移民をユダヤ人に限り、1970年改訂の帰還法(国外のユダヤ教徒がイスラエルに移民することを認めるイスラエルの法律)では、ユダヤ人について、「ユダヤ人の母親から生まれた人、あるいはユダヤ教に改宗した人で、ほかの宗教に帰依していない者」と定義していた。 しかし、ロシアからの移民の半数以上は非ユダヤ人との指摘がある。仲介業者からユダヤ人証明者を購入することで、イスラエルの土を踏んだ者が多いという(『フォーサイト』2001年10月号 池内恵「“ユダヤ人”とは名ばかりのイスラエルへの移民」)。 既成事実ができてしまえば用済みというのか、新規のロシア系住民は「ユダヤ人」を装う素振りさえ見せず、ロシア正教会への帰依をあらわにする。信者の急増を受け、イスラエル国内ではロシア正教会の教会がいくつも新造されることとなった。 彼ら旧ソ連出身者は「イスラエル我が家」という独自の政党を築く。建国以来、過半数を占める政党が存在せず、連立内閣が常態化しているイスラエルでは、少数政党の意見が法制化されることが珍しくない。議席数は少ないながら、極右政党でもある「イスラエル我が家」の影響力は軽視することはできない。 ロシアのウクライナ侵攻に伴う欧米が中心の経済制裁についても、「中立」を掲げるイスラエルが抜け道になって効果が期待できないとの声が当初から囁かれていた(『JBプレス』4月4日付 加谷珪一「『最大限の経済制裁』は穴だらけ、これではロシアを追い詰められない」やジェトロ・アジア経済研究所『IDEスクエア』2022年5月「(混沌のウクライナと世界2022)第5回 ロシアのウクライナ侵攻とイスラエル──「曖昧」路線の舞台裏」など)。 キリル総主教を制裁対象に加えたのはEUを離脱したイギリス単独によるもの。ロシア経済に対する決定的な打撃とまではいかないまでも、抜け道の一つを潰す効果はあるはずである。【プロフィール】島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。近著に『鎌倉殿と呪術 怨霊と怪異の幕府成立史』(ワニブックス)、最新刊に 『ロシアの歴史 この大国は何を望んでいるのか?』(じっぴコンパクト新書)がある。 
2022.06.28 15:15
マネーポストWEB
作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』(イメージ)
【逆説の日本史】獄中で書かれた「イエス抹殺論」に隠された幸徳秋水の「本音」
 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。近現代編第九話「大日本帝国の確立III」、「国際連盟への道 最終回」をお届けする(第1345回)。 * * * すでに述べたように、「大逆事件の主犯」とされた幸徳秋水は、その代表作『廿世紀之怪物 帝國主義』において、明治天皇(当時はまだ今上天皇)については鋭く批判するどころか、むしろ賞賛している。「天皇は平和を好み世界の幸福を願っておられ、いわゆる『帝国主義者』ではいらっしゃらないようだ」と述べている。しかし、帝国主義を撲滅しようとするなら当然その実行者の一人である専制君主も排除しなければならないはずで、この態度は矛盾していると言っていい。そこで私は、本連載の第一三四一回(五月二十七日号掲載)で次のように書いた。「これはいったいどうしたことか。この本の目的は帝国主義撲滅を訴えることだから、ほかの部分で無用な摩擦を避けようとしたのか。つまりこれは外交辞令なのか。それとも幸徳の本音なのか。この点については幸徳の別の著作も視野に入れて検討しなければいけないので、とりあえずは措く」 ここで、このとき保留にした問題、つまり「幸徳秋水の本音」を追究してみたい。その解明の大きなヒントになるのが、「幸徳の別の著作」である『基督抹殺論』である。「キリストを抹殺する」というこの物騒なタイトルの著作は、幸徳の事実上の遺作と言ってもいい。なぜ「事実上」なのかと言えば、逮捕前からこれを書き始め獄中で完成させた幸徳は、最後の著作として『死刑の前』を書き始めたからである。 ところが、目次を作り全体を五章構成にし、第一章「死生」を書き終えたところで死刑に処せられてしまった。だから、完成した著作としては『基督抹殺論』が最後のものとなるわけだ。その内容をかいつまんで紹介しよう。例によって原文は現代人にとっていささか難解なので、テキストとして『現代語訳 幸徳秋水の基督抹殺論』(佐藤雅彦訳 鹿砦社刊)を用いる。〈 〉内(引用部分)はこのテキストによることをお断わりしておく。 序文は、〈私は今拘えられて東京監獄の一室にいる〉という文章で始まる。そして神奈川県の湯河原で療養を兼ねて本書の執筆を進めていたが、突然逮捕されて東京に送られ五か月の空しい時が過ぎたが、予審(戦前に行なわれていた、一種の予備裁判)も終わり自由な時間ができたので執筆に取りかかった、と経緯を述べている。そして、獄中という執筆には最悪の環境のなかで病身に鞭打ってまで本作を完成させたのは、決して満足のいくじゅうぶんな出来では無いものの、たぶんこれが自分の最後の著作となる。だからこそ、自分の知る限り誰も明確に述べたことの無い〈史的人物としての基督の存在を否定して、十字架なんぞ生殖器の表示記号を変形させたものにすぎない〉ことを〈結論づけ〉、世に問うために本書を完成させた、と述べている。 つまり、キリスト教の否定もそうだが、そもそもイエスすら歴史上の実在の人物では無いのだと証明するために、幸徳はこれを執筆したというのだ。それゆえにキリスト教批判を飛び越えたイエス抹殺論になるわけである。幸徳はまず、イエスの言行を四人の弟子、マルコ(馬可)、マタイ(馬太)、ルカ、ヨハネ(約翰)が記録した『新約聖書』の四つの福音書に、肝心な点において異同や矛盾があると述べる。〈耶蘇の奇跡的な生誕のことを、馬可および約翰の福音書は記していないし、彼の昇天のことを約翰および馬太の福音書はまるで知らぬかのような書きようなのだ。人類の歴史の最も重要な二大事件であり、ことに基督が神であることを証明する最も貴重な二大事件であるのに、どうしてこれらの福音書は忘れ去ってしまったのか。忘却でないとすれば、なぜ黙って見過ごしているのか〉 多くの日本人は、キリスト教世界でもっとも重要なお祭りをクリスマスだと思っているが、そうでは無い。たしかにクリスマス(降誕祭)は、キリストであるイエスが赤ん坊の形をとってこの世に降りてきたという重大な出来事を記念する祭りである。しかし、キリスト教徒にとってそれ以上に重要なのは、人間社会でしばらく時を過ごしたイエスが、十字架にかけられ一度は殺されたのに見事に復活し、自分は神だと証明したことを記念するイースター(復活祭)だ。 イエスは復活という奇跡を示したからこそ人間では無く神(キリスト)だということになり、それゆえにイエスの言行を記録した四つの福音書は『新約聖書』に収録されたはずだ。それなのに、その教義の根幹をなしている「生誕(降誕)」と「昇天(復活)」が記されていない福音書があるのはどういうことか、と幸徳は鋭く批判しているのである。そして、幸徳は次のように断じる。〈聖書は神話なのだ。小説なのだ。神話小説として読むのはよかろう。玩ぶのはかまわない。研究するのもまた大いに結構だ。けれども基督の伝記としては半文銭の価値もないのだ〉 そして幸徳は、そもそもイエスが歴史上本当に実在したのか、キリスト教世界以外の歴史家の史書を参照し考証している。たとえば、歴史家フラウィウス・ヨセフス(紀元37年~100年頃。幸徳は「フラヴイアス・ジョセフス」と表記)は、名著『ユダヤ戦記』の著者としても有名だが、イエスの死後(復活後)さほど時を経ないうちに生まれたユダヤ人の大歴史家がイエスのことなどまったく記録していない、と述べている。 つまり、キリスト教とは直接関係が無い第三者的な立場の同時代の歴史家で、イエスの実在を証明する記述をしている者は一人もいないということである。そして、〈宗教は必ずしも個人的建設者を必要としない〉〈祖師が宗教を作るよりもむしろ宗教が祖師を作るというのも、決して珍しいことではない〉(=イエスは後から作られた架空の存在である、ということ)と論を進め、キリスト教徒がイエスの「十字架上の死」に基づいて「十字を切る」習慣があることについても、十字の形は古代から使われてきた男性の生殖器などを示す記号であって、〈基督の磔刑に由来すると考えたり、基督教に専有の記号だと考えるのは、大間違いである〉と指摘する。幸徳はキリスト教の言うべき「三位一体論」についても舌鋒鋭く批判しているが、最後の結論はこうだ。〈基督教徒が基督を史的人物とみなし、その伝記を史的事実と信じているのは、迷妄である。虚偽なのだ。迷妄は進歩を妨げ、虚偽は世の中の道義を害する。断じてこれを許すわけにはいかない。その仮面を奪い去り、粉飾の化粧を?ぎ落として、真相実体を暴露し、これを世界の歴史から抹殺し去ることを宣言する〉 以上の「宣言」をもって幸徳はこの『基督抹殺論』を締めくくっている。たしかに熱のこもった著作であることは間違いないのだが、死刑が予想される苛烈な環境において、幸徳はなぜそこまでこの作品に情熱を注いだのか。普通に考えると、どうしても納得がいかない。しかし、ここで当時の状況を頭に置くと見えてくる仮説がある。その状況とは、他ならぬこの著作の現代語訳者佐藤雅彦が「解説」で指摘しているもので、〈天皇をじかに批判することは、当時の言論出版規制のもとでは事実上、不可能であった。(中略)菅野スガは、幸徳秋水のもとで政府批判の刊行物を出版しようとしたが官憲に発禁処分を喰らい、秘密裏に読者に配布して逮捕され、現在の金額で数百万円相当の罰金を科されて(中略)もはや言論では社会変革など無理だと観念して、直接的な暴力革命を志向するようになったほどだった。〉(『現代語訳 幸徳秋水の基督抹殺論』(佐藤雅彦訳 鹿砦社刊) これが、徳冨健次郎が『謀叛論』で指摘していた「政府の遣口」すなわち「網を張っておいて、鳥を追立て、引かかるが最期網をしめる。陥穽を掘っておいて、その方にじりじり追いやって、落ちるとすぐ蓋をする」だろう。一方、佐藤は、こういう状況下において幸徳は、直接天皇を批判した著作を書いても多くの人には絶対に伝わらないので、こういうやり方を取らざるを得なかった。 つまり、この著作の目的は基督の抹殺では無く、「今上天皇・睦仁」の「神格性」の「抹殺」、「天皇教という迷信」の「打破」であった、と考えているわけだ。この考え方自体は佐藤以前にも存在したものだが、的確な見方と言っていいだろう。私もそう思う。幸徳の本音はそれであったに違いない。そして、私はこの件で幸徳の「手本」になった書物があると推察している。唯一「生き残った」著作 それは、江戸時代の『靖献遺言』である。どんな書物かと言えば、次の説明が一番わかりやすいかもしれない。〈江戸前期の思想書。八巻。浅見絅斎(けいさい)著。貞享四年(一六八七)成立。楚の屈原から明の方孝孺までの、節義を失わなかった八人の中国人の遺文に略伝などを付し、日本の忠臣、義士の行状を付載する。当初は日本の人物を中心にする予定であったが、幕藩体制を考慮して中国のそれに換えた。自説を何ら付していないが、尊皇思想の展開に影響を与えた。(以下略)〉(『日本国語大辞典』小学館刊)「尊皇思想の展開に影響を与えた」とあるが、じつはそんな生易しいものでは無かった。いまでは忘れ去られているが、これはかつて「明治維新を招来した書物」などと評されたこともあったのである。幕末の尊皇思想を研究した山本七平は、その著『現人神の創作者たち』(文藝春秋刊)で、この書物のことを「維新の志士といわれた人びとにとって、この『靖献遺言』は文字通りの「聖書」であった。たとえば頼三樹三郎のように『靖献遺言でこりかたまった男』と評されることは、最大の賛辞であった」と述べている。 私の愛読者なら『靖献遺言』は「右翼」で、幸徳秋水のほうはバリバリの「左翼」だから両者はまったく関係無い、とは思わないだろう。では、どこが幸徳の手本なのか。 明治時代に「天皇をじかに批判することは、当時の言論出版規制のもとでは事実上、不可能」であったように、近代以後のような出版体制の無かった江戸時代においては、「将軍をじかに批判することは絶対に不可能」であった。しかし、朱子学者としての絅斎が望んだのは、「覇者にすぎない徳川将軍家は、日本の統治を真の王者である天皇家に返すべきだ」ということだ。 たしかに、幕末このことは大政奉還という形で実現したが、絅斎の生きていた江戸初期にはそんなことを口にしただけで文字通り首が飛ぶ。まともな出版も無い状況下で自分の想いを後世に伝えるにはどうすればいいか? おわかりだろう。だから「中国人の話」にしたのである。この書物には「幕府を倒せ」という主張も、「倒すべきだ」という意見も載せられてはいない。それゆえ江戸中期以降は出版も許されたのだが、この書物を読めば誰でも痛切に感じるのは、「覇者は倒して、王者が政権の主になるべき」ということだ。あくまで「中国の話」なのだが、それを日本に当てはめれば当然「倒幕」が正しい、ということになる。だから「志士の聖書」であり、それに「こりかたまった男」が尊敬されたのだ。 たしかに、『基督抹殺論』と『靖献遺言』では、めざす体制は正反対だ。しかし、まるで写真の陽画と陰画のように両者には共通点がある。博覧強記で古今の文献に通じ明治人でもあった幸徳は、当然この書物の存在と、厳しい「検閲」をいかにして潜り抜けたかを知っていただろう。だからその方法論に学び、「天皇抹殺論」を「基督抹殺論」に替え、いずれ天皇制打倒に立ち上がる「志士」が多数出現することを願っていたのではないか。 そして、もし幸徳の本音がそうだったとしたら、その目論見は成功したとは言えない。たしかに、この『基督抹殺論』は幸徳の著作がすべて「禁書」となった戦前においても唯一「生き残った」著作となった。しかし、皮肉にも幸徳が打倒をめざした国家主義者たちが、日本の国体を強化しキリスト教を批判するための道具として、これを使った。「あの幸徳ですら基督教は迷妄だと批判していた」という形で、だ。幸徳にとっては不本意なことになったわけである。 では、幸徳の目論見はなぜうまくいかなかったのだろうか? 簡単に言えば、日本の民主主義確立にとって天皇の存在は欠かせなかったという歴史的事実を、幸徳は気づいていなかったか、故意に無視したか、いずれにせよ軽視したからだろう。天皇のカリスマ性を利用しなければ四民平等も実現しなかった。それが冷厳な歴史的事実である。 いずれにせよ、そのカリスマを持った明治天皇の死によって明治時代は終わり、大正という新しい時代の幕が上がったのである。(「国際連盟への道」編・完、第1346回に続く)※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.24 16:00
週刊ポスト
40~50代が利用するならどこがいい? マッチングアプリ8サービスの特徴を比較
40~50代が利用するならどこがいい? マッチングアプリ8サービスの特徴を比較
 コロナ禍の出会いの場として注目度を増しているマッチングアプリ。近頃は、40~50代の利用者も急増している。しかし、その種類は多種多様で、どのサービスを選択すればいいのか悩ましいところ。そこで、40~50代が利用するならどのマッチングアプリがいいのか? 8つのサービスの特徴を紹介する。自身の属性や希望に合ったものを選んでみてほしい。【Pairs(ペアーズ)】初心者はまずここから!幅広い年齢層と目的に対応 登録者数最多のマッチングアプリ。約1500万人の登録者数を誇り、毎日8000人が新規登録している。趣味などでつながるコミュニティーが10万件以上あり、婚活のみならず恋活もできるなど、用途が幅広いことが特徴。ユーザーへの対応品質が高く、平均4か月程度で恋人ができるとされる。料金は女性が無料で、男性は3590円(1か月)~。【ブライダルネット】結婚したい人はここ!チャットで相談もできる 結婚への真剣度が高い人が多く登録しているのが特徴。婚活をサポートする「婚シェル」に、チャットで相談ができるので、初心者も使いやすい。このほか毎月最大42人の「お相手紹介」機能や、人柄が表れる「日記」機能など独自のサービスも。料金は男女ともに2000円(1か月)~。無料トライアルプラン、結婚するまで使い放題プランもある。【Match(マッチドットコム)】登録者の年齢層が高め。宗教、政治観などもわかる 1995年にサービスを開始し、24か国で展開しているアメリカのアプリ。登録者の年齢層が高く、結婚への真剣度が高い。相手を検索するための項目が細かく、宗教や政治観などでも相手を選べるのが特徴。サポート体制も充実しており、料金は男女ともに4490円(1か月)~と、ほかのアプリと比べて高めのため、真剣な会員が多いという。【with(ウィズ)】心理テストをもとに相性がいい人を探せる 心理テストや性格診断で相性がいい相手を見つける機能があるのが特徴。また、登録時にチェックした興味や関心があることから、共通点が多い相手を表示してくれる。メッセージには、話題の提案や文字数などのアドバイス機能がついており、知らない人とのやり取りが苦手だという人も安心。料金は女性無料、男性は3600円(1か月)~。【marrish(マリッシュ)】再婚希望者を優遇。約2割のシングルマザーが登録(※) 離婚歴がある人に特化したマッチングアプリなので、40~50代が多い。シングルマザー、シングルファザーを優遇するプログラムがあるのが特徴的で(毎日6人に無料でメッセージ付き「いいね!」を送れる、シングルマザーや再婚に理解のある男性にはリボン表示がされるなど)、料金は女性は完全無料、男性は3400円(1か月)~。(※厚生労働省2019年「人口動態調査」でシングルマザー世帯は123万世帯あり、マリッシュのシングルマザー登録者数は約25万人)【youbride(ユーブライド)】アラフォー世代の成婚率が高い 30代後半~50代の利用者が多く、サービス内で登録者同士の恋愛相談ができることも特徴の1つ。登録者の80%が5か月以内に成婚するなど、実績も高い。プロフィールには、結婚への価値観や、結婚生活における相手への希望なども詳しく記載。難しい機能や複雑な設定がなく使いやすい。料金は男女ともに2400円(1か月)~。【Omiai(オミアイ)】マッチング率が累計8000万組と高い! 累計8000万組以上がマッチングしている国内最大級アプリの1つで、真面目な婚活をしたい人向き。監視とサポート体制が整っており、不適切な行為をした会員には「イエローカード」が掲示されるなど、独自の工夫がされている。そのため悪質なユーザーが少ないことに定評がある。料金は女性無料、男性は4800円(1か月)~。【Tinder(ティンダー)】近くにいる人を探せて既婚者も楽しめる 特徴は、スマホの位置情報(GPS)を使い、近くにいる相手とすぐに会えること。そして、既婚・未婚を問わず登録ができること。ほかのアプリに比べて規約がゆるく、基本的に男女ともに無料のため、不倫や性交目的、投資詐欺などが多いので注意も必要だが、友達をつくりたいマッチングアプリ上級者にはおすすめ。取材・文/前川亜紀※女性セブン2022年6月16日号
2022.06.03 21:00
女性セブン
新宗教の発信力 聖教新聞の部数は朝日新聞超え、幸福の科学本はベストセラー1位
新宗教の発信力 聖教新聞の部数は朝日新聞超え、幸福の科学本はベストセラー1位
 コロナ禍で失われていた人の集まりが元に戻りつつある。そうしたなかで再び活性化するのが新宗教の動き──。新宗教はメディアを通じて、そのパワーを見せつける。新宗教の発信力について、宗教雑誌『宗教問題』の小川寛大編集長がレポートする。【写真】創価学会が発行する「聖教新聞」の一面や、ベストセラーとなっている大川隆法氏の著書 * * * 創価学会の機関紙『聖教新聞』の公称発行部数は550万部。これはすでに、朝日新聞の発行部数448万5000部を超える数字である。 聖教新聞の月間購読料は1934円(税込)なので、年間の購読料収入は約1276億円という計算になる。 また、昨年の年間ベストセラー(トーハン調べ)の第1位は、幸福の科学・大川隆法総裁の著書『秘密の法 人生を変える新しい世界観』(幸福の科学出版)だった。世界的ベストセラーの『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)や、芥川賞受賞作品『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著、河出書房新社)を抑えての堂々第1位であり、発行部数は85万部を超えているという。 大川氏が、月に数冊もの猛ペースで本を書き続ける人物であるのはよく知られた話。主著の『法シリーズ』は総発行部数2000万部を超え、著作全体では4500万部とも、9000万部ともいわれる。 これらは特に目立つ例だとしても、ほとんどの新宗教は新聞や雑誌を発行し、また教祖の本などを出版して、信者たちに購読させている。 天理教や大本(大本教)といった、幕末・明治期に誕生した新宗教の教祖たちの多くは、彼ら自身が特殊なパワーを持つ、一種の超能力者だったとされる。彼ら教祖が周囲の人々にパワーを与えることで、病気が治るなどの評判が相次ぎ、その集まってくる人々の輪が、宗教団体となった。 ただし、このスタイルは教祖が布教の最前線に直接出て行かなければ成立しにくく、規模の拡大が一定の範囲にとどまるなどの“制約”が生じる。 この状況を変えたのが、生長の家創始者の谷口雅春氏だった。大本教の幹部だった谷口氏は、早稲田大学英文科で学んだインテリ。1930年、『生長の家』という名前の雑誌を発行して、自らの教団を立ち上げる。谷口氏は、自分の書いた文章を読めば人生が好転する、病気が治るといったことを主張。実際に、事業に成功した、死から生還した、などといった読者が数多く現われ、生長の家を大きく発展させていく。 彼の主著『生命の實相』シリーズは、累計発行部数1900万部といわれる大ベストセラーである。そうした谷口理論に心酔した人々が、今なお生長の家を源流とする保守系市民団体・日本会議を強力にリードしている現実などもあるのだ。 創価学会や幸福の科学をはじめとする、新宗教の出版ビジネスは、基本的にはこの谷口氏の手法の後に続くものだ。ライバルはインターネット 新宗教の出版ビジネスは、信者からの“集金”以上の意味も持つ。例えば創価学会は全国の新聞社に聖教新聞の印刷を委託し、多額の費用を支払っている。また幸福の科学はじめ、教祖の著作などが出版されると、多くの教団は新聞などに大きな宣伝広告を掲載する。新宗教がラジオ広告を好むのは昔からあった傾向だが、近年ではゴールデンタイムのテレビに、新宗教のCMが登場することもしばしばだ。 現在、オールドメディアの不況が叫ばれるなかで、新聞社やテレビ局に流れるこうした新宗教マネーをメディア側は拒否できない。報道のなかに、いわゆる「新宗教タブー」が形成される一因である。 当然、書店にとっても、教祖の著作などが出版されるたび、多くの信者がまとめ買いなどをしてくれる構図は歓迎せざるをえない。今では大抵の大規模書店には、新宗教関係書籍の専門コーナーが存在する。 また、教団関係の出版事業は、信者の“統制”にも一役買う。創価学会の池田大作名誉会長は、ノーベル平和賞をいつもらってもおかしくない世界の偉人であり、幸福の科学・大川総裁は国難の時代の救世主で、世界の著名人と守護霊を介して交信できる──少なくない信者は、このように信じている。 日本にはもちろん言論の自由がある。特定の宗教団体を厳しく批判する本なども、世にはあふれている。しかし、教団側が“公式情報”を怒涛のように信者たちの前に流すことによって、彼らは確実に、信者でない人々とは違う言論空間に生きることになる。 しかし、谷口氏の時代はもはや遠い。新宗教団体の従来型出版ビジネスを脅かしているのは、やはりインターネットだ。 インターネット上に聖教新聞の公式サイトがオープンしたのは2006年。スマートフォン用の電子版アプリ「聖教電子版」がリリースされたのは、2016年のことである。一般の新聞に比べれば、ネット、電子版対応はかなり遅い。 創価学会員の家庭では、聖教新聞を4~5部取ることも普通である。熱心な会員になると、1人で10部取って、周囲に配って回るといった人もいる。しかし、新聞の電子版を一家庭で5つ契約するなどのことは想像しにくく、そもそも電子版をどう“配る”のかという問題もある。創価学会に限らず、新宗教団体の内部には「機関紙類の電子化は、収入面でも信者統制の面でもマイナス面が大きい」という議論がある。 しかし、世の止まらないIT化を前に、新宗教の出版事業は今後、どうなるものなのか。【プロフィール】小川寛大(おがわ・かんだい)/1979年、熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て現在に至る。著書に『神社本庁とは何か』(K&Kプレス)、『南北戦争』(中央公論新社)など。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.17 06:15
マネーポストWEB
創価学会の信濃町、天理教の天理、世界救世教の熱海…「新宗教の街」を歩く
創価学会の信濃町、天理教の天理、世界救世教の熱海…「新宗教の街」を歩く
 日本には新宗教が拠点を置く「宗教都市」が点在するが、実態を知る者は少ない。フリーライターの國友公司氏が現地を歩いた。【写真5枚】「宗教都市」を歩いて撮影した写真、信濃町や天理教の教会本部など * * * 2か月に1回のペースで特急「踊り子」に乗車する私は、自他共に認める熱海好きである。熱海駅に到着するとまずは商店街でさつま揚げを立ち食いし、MOA美術館でしばし国宝を眺め、伊藤園ホテルへと向かう。そんなことを数年間繰り返しているわけだが、今回の取材に至るまで、このMOA美術館が世界救世教という新宗教の運営下にあり、「地上天国」と呼ばれていることなどまったく知らなかった。 これまで倉庫か何かかと思っていた美術館の真横に位置する建物が世界救世教の本部のようだ。中に入り施設を見学していると、「初めてでしたらご案内致します」と職員の女性に後ろから肩を叩かれた。美術館は連日の大盛況だが、その観光客が本部に流れてくることは稀なのだという。 その一方、熱海市民においては信者であるなしにかかわらず、本部を訪れる機会は多いそうだ。3階にある拝殿は3000人を収容できるほどの広さを持つ。「熱海市は山と海に囲まれており、坂道も多く、これほど広い空間(拝殿)がほかにありません。そのため、熱海市が主催する映画祭やイベントはここで行なわれることが多いのです。美術館の中にある能楽堂(501席)は、熱海市の成人式にも使われています」「荒れる成人式」と揶揄されることも多いが、熱海市では毎年粛々と式が進む。新成人たちもさすがに能楽堂で大騒ぎしようという気は起きないようだ。「何か自分の中に抱えているものはありますか? 私の横で一緒に祈ってみてください」 職員はそう言うと、祭壇に向かって日本神道における神を祭り、神に祈る際に用いる天津祝詞というものを唱え始めた。「カムロギカムロミノミコトモチテ……カシコミカシコミ……カンナガラタマチハエマセ……」 また、世界救世教の大きな特徴のひとつに「手かざし」による浄霊があるが、頼めば職員はこの浄霊までしてくれるという。「私たちの浄霊は自ら気を発するのではなく、宇宙からの光を自分の体を通じて相手に渡すだけなので消耗することがないのです。つまり、私と國友さんが一緒に楽になれるのです。どんな宗教も肌で感じることが大切。國友さんのしていることは素晴らしいことです」住民の4割が信者 次に訪れたのは、創価学会の総本部がある東京・信濃町。5月3日は世間的には憲法記念日だが、「創価学会の日」にあたる。商業ビルの外壁には商店街の振興会が出したお祝いの看板が掲げられ、人通りも多く活気に満ち溢れていた。 信濃町には、「創価文化センター」「聖教新聞社」など関連施設が密集しているが、基本的には学会員しか入ることができない。「広宣流布大誓堂」では、「祝5・3」と書かれたパネルの前に記念撮影の行列ができていたが、遠くから指をくわえて眺めることしかできなかった。 通行人の様子を見ていると、あることに気が付く。半数以上が、祖父母、両親、子供と3世代揃い踏みであり、1人で歩いている姿はほとんど見受けられなかった。親が学会員なら子も学会員。一家揃って本部を訪れているのだ。 そんな私でも楽しめるのが、「金剛堂」という仏具店だ。ここには、創価学会にまつわるグッズが大量に売られており、誰でも購入できる。コンビニほどの店内に80人ほどがすし詰めとなり、異様な盛り上がりを見せるなか、とくに人気なのは、創価大学駅伝部のユニフォームを着たキューピー人形のストラップ。次いで、創価カラーのハチマキを巻き、数珠を手に下げているクマのぬいぐるみだった。 信濃町と対照的だったのは、その数日前に訪れた奈良県天理市だ。天理駅に到着し、まず目を引いたのは団体客専用の改札口があることだ。こちらは普段は閉鎖されているが、地方から「おぢばがえり」に訪れた天理教信者のために開かれることがある。「教祖誕生祭」や「月次祭」など記念行事の際は街が天理教一色となる。地元のタクシー運転手がそのときの様子を教えてくれた。「毎年7~8月の行事(こどもおぢばがえり)のときは、全国から30万人の天理教信者がこの街に集まるんですわ。天理市の人口が約7万人なんやから、どんな状態になるかわかるやろ」 駅から教会本部までは徒歩20分の道のりだが、駅前にはすでに教会の法被を着た人たちの姿がある。コンビニの前でアイスクリームを食べている高校生たちも天理教の法被を着ている。駅前のバーで働く天理大学の学生いわく、「住民の4割ほどが天理教信者」であるという。「私は親が天理教信者で、天理生まれ天理育ちです。ここに住む人たちは生まれたときから当たり前のように生活に天理教が溶け込んでいるのです」 カウンターに座る別の天理大学の学生も話す。「僕は北関東の生まれですが、天理教に対する偏見に悩んでいました。でも天理市に越してからは偏見を感じたことはないんです」 恥ずかしながら私も、これまで新宗教に触れる機会に乏しかったこともあり、冷ややかな目で見ていた節がある。しかし、数日間天理教本部に通ってみるとその印象も薄れてきた。職員は施設の隅々まで案内してくれる。こちらの疑問には真摯に答え、その上、勧誘行為は一切ない。 世界救世教の職員の、「どんな宗教も肌で感じることが大切」という言葉を理解した旅だった。【プロフィール】國友公司(くにとも・こうじ)/1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライター活動を始める。7年間かけて大学を卒業後、フリーライターに。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)、『ルポ路上生活』(KADOKAWA)※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.15 07:15
マネーポストWEB
新宗教の資金力 幸福の科学「創業オーナー」の強みと、急速に信者増やす真如苑
新宗教の資金力 幸福の科学「創業オーナー」の強みと、急速に信者増やす真如苑
 コロナ禍で失われていた人の集まりが元に戻りつつある。そうしたなかで再び活性化する新宗教の動き。政治、メディア、スポーツなど、我々が日常的に接しているものに多大な影響を及ぼしている「10大新宗教」の今に迫った。【写真】真如苑が14億円で落札した大日如来坐像。他、739億円で購入した日産自動車工場の敷地【※10大新宗教は、幸福の科学、真如苑、崇教真光、世界救世教、創価学会、天理教、立正佼成会、霊友会、生長の家、PL教団】 10大新宗教の中でも「資金力」が突出しているとみられているのが創価学会だ。宗教団体の本部にはシンボルとなる巨大建築が多いが、創価学会は東京・信濃町の本部関連施設群をはじめ、全国各地に「池田会館」や「平和会館」などの関連施設を多数建設。保有する不動産はケタ違いだ。さらに創価大学や系列の高校中学を運営し、美術館、葬儀社、墓地公園などの事業を展開。教団の収入は、毎年12月に学会員からの寄付を募る「財務」と関連事業が柱だ。御奉納3万円目安 それに続くとみられているのが幸福の科学だ。大川隆法・総裁が1986年に設立、1991年に宗教法人となってからわずか30年で全国・全世界に精舎・支部精舎等を700か所以上、布教所を約1万か所展開するなど、豊富な資産を築いた。政界進出にも意欲的で、幸福実現党が毎回、得票数が足りずに億単位の供託金を没収されながらも、選挙に挑み続けていることでも知られる。今年7月の参院選にも候補者を擁立する方針だ。幸福実現党幹部はこう話す。「選挙資金は信者の寄付、運動員も信者のボランティアに頼っている。その期待に早く応えたい」 収入の柱は“ベストセラー”を次々に生み出す大川氏の著書の出版ビジネスとセミナーとみられている。幸福の科学は、各地で連日のようにセミナーを開催し、多くの信者が参加費を支払って受講している。本誌が入手した教団施設「東京正心館」の2020年4月のセミナー日程表には、「中国発コロナ不況撃退『降魔繁栄祈願式』」「大金持ちになる法 学習会」「悪魔祓い祈願祭」「新強力・病気平癒祈願式」など毎日なんらかのセミナーの日程がぎっしり組まれ、中には「経営者マインドの秘密 御奉納3万円目安」と参加料が書かれているコースもあった。宗教学者の島田裕巳氏が語る。「新宗教のほとんどは創立者が亡くなったり引退して2代目、3代目に代替わりした。大川隆法さんは現在の新宗教界では数少ない創業オーナーです。外部がどう評価するかは別として、教祖が健在の宗教組織はある意味、大胆なことができるし、お金集めにしても勢いがある。それが幸福の科学の強みといえる」仏像を14億円で落札 先行する2教団に続いて、急速に信者数や資金力を伸ばしているとされるのが真如苑である。 真如苑は1936年に教祖で真言宗の僧侶・伊藤真乗氏が創設した真言宗系在家仏教教団で東京・立川市の真澄寺に総本部を置く。現在は娘の伊藤真聰氏が苑主を務める。 その名を轟かせたのは2002年、立川市と武蔵村山市にまたがる約106ヘクタールの広大な日産自動車工場跡地を739億円で購入した時だ。 さらに2008年には、ニューヨークのクリスティーズ主催のオークションで鎌倉時代の仏師・運慶作と伝わる大日如来坐像を14億円で落札。2012年に千代田区の皇居の近くに別院「友心院」を建設し、2018年には同地区に大日如来坐像はじめ所蔵する美術品を展示するための「半蔵門ミュージアム」を建設するなど、新宗教の中では中規模とされる教団ながら豊富な資金力を見せつけているのである。 新宗教は全盛期を過ぎたといわれる。文化庁の発行する『宗教年鑑』のデータでは、平成の約30年間で全宗教団体の信者数は5900万人減少、とくに仏教系は8700万人から4700万人に減った。高齢化、少子化の社会の波は宗教界にも押し寄せたのだ。「新宗教は高度成長期に地方から都会に出てきた人たちを信者として吸収して成長してきた面が強い。その世代の高齢化とともに教団の成長は止まった。世代交代もうまくいっていない。ほとんどの新宗教は、自前のお墓を持たないから世代が継承されにくい」(島田氏) そうした教団の成長が難しい時代にあって、真如苑は20年前(平成13年)の約80万人から現在(令和3年)は約93万人と信者数を大きく伸ばしている(出典は『宗教年鑑』)。 その代表的な修行法は「接心」と呼ばれる。教団のホームページではこう説明している。〈修行を重ねた指導者から「霊言」として伝えられるアドバイスを受けながら、自分のこころの傾向を見つめ、どのような方向へ向かっていくのか見極め、心の精度を向上させていきます〉 教団施設で「接心」を受けた時の寄付の目安は1回1000円とされる。島田氏が続ける。「接心というのは心理的なカウンセリング、悩み相談のようなものです。宗教に精神的な救済を求めるというより、病院に健康診断に行くようなライトな感じ。たとえば子育てが一段落した中高年層の主婦で、夫は大企業に勤めているけど家庭を顧みないといった時間とお金に余裕がある層などをうまく吸収しているのではないか。気楽に悩み相談ができて、多額のお布施や選挙活動などは求められない。宗教の堅苦しさもないのが時代に合っているのかもしれません」 信者拡大が資金力強化につながっていると言えそうだ。宗教雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏が指摘する。「多くの新宗教には信者から固定的な金額をむしり取るような構造は実は存在しない。会費は立正佼成会が月100円、PL教団は月1000円、崇教眞光が月500円など、その程度の金額です。各教団のコアな収入源は、年間予定の様々な行事の参加費、祈祷料など。信者に寄付を競わせるような手法は、信者2世や3世が教団を支えるようになるとうまく回らないかもしれない」 新宗教団体の資金集めは時代の曲がり角にある。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.13 06:15
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7月参院選で注目される「宗教票」 創価学会に対抗できる新宗教はあるのか
7月参院選で注目される「宗教票」 創価学会に対抗できる新宗教はあるのか
 コロナ禍で失われていた人の集まりが元に戻りつつある。そうしたなかで再び活性化するのが新宗教の動き──。今年7月の参院選で注目されるのは、「宗教票」の政治への影響力が増していることだ。それは自民党と公明党の連立政権内での力関係の“逆転”からも見て取れる。【写真】創価学会が発行する「聖教新聞」の一面 大型連休前の政界は自公が“参院選向け”の緊急経済対策で補正予算を編成するかどうかをめぐって激しく衝突した。公明党の山口那津男・代表は、「経済対策を決めたら財源として補正予算も指示しないと間に合わない。対応を誤れば政治の責任にもなりかねない」と強く要求。自民党は「財源は予備費でまかなえる」と反対したが、党首会談で岸田文雄・首相が折れ、今通常国会で異例の補正予算を組む方針が決まった。参院選前に経済対策で支持者に成果を示したい公明党の完勝だった。 その背後にあるのが創価学会の集票力だ。公称信者数約827万世帯を誇る創価学会は日本の10大新宗教の中で、依然として最大の政治力を持つ。その集票力は「800万票」と言われたが、選挙のたびに得票を減らし、前回参院選(2019年)では約654万票(比例代表)に落ち込むなど長期低落下傾向にあった。それが昨年の衆院選で「711万票」(比例代表)を獲得し、健在ぶりを見せつけた。政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。「創価学会は衆院の小選挙区あたり大体2万~3万票の集票力を持ち、自民党議員の当選を支えている。仮に、学会票が全部野党候補に流れた場合、自民党議員は100人規模で落選する計算になる。いまや自民党は学会票がなければ政権維持できないし、岸田首相も参院選に勝って首相の座を守るためには言うことを聞かざるを得ない。公明党・創価学会の存在感、政治的発言力は明らかに以前より増している」自民党との人脈を強化 昨年の総選挙では自民党の甘利明・前幹事長が小選挙区で敗北、石原伸晃・元幹事長が落選し、「学会票が離れたのが敗北の決め手になった」(野上氏)と分析されている。有力議員でさえ創価学会票に命運を握られていることが分かる。 ライバルの教団も動き出した。加盟教団の公称信者数を合わせると約1200万人の「新日本宗教団体連合会」(新宗連)は「反創価学会」を旗印に結束し、2009年の総選挙では当時の民主党を支持して政権交代の原動力になったが、その後、自民党が政権奪回すると結束力を失っている。 その新宗連に新たな動きが起きている。宗教雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏が語る。「多くの教団が加盟する新宗連はアンチ創価学会の他に統一した政治理念があるわけではない。保守色が強い教団も多い。しかし、新宗連の中心的存在である立正佼成会の庭野光祥氏(次期会長)は核廃絶や環境問題に関心が高く、政治的にはリベラル派で立憲民主党支持に傾斜している。新宗連内部の保守派には不満もあり、保守派の代表格ともいえる崇教眞光は下村博文・元文科相との情報交換などを通じて自民党との人脈を強化しようとしているように見える」 崇教眞光は「情報交換は致しておりません。年に数回、下村代議士の事務所からニュースレター(国政報告)は届いております」と答えた。 一方、新宗教団体きっての“タカ派”とされ、新宗連を脱退している「生長の家」では逆に3代目総裁の谷口雅宣氏が安倍政権の安保法制に反対を唱え、自公政権不支持を表明(2016年)した。“リベラル派”に舵を切った立正佼成会と生長の家が接近しているとの見方もある。新宗教界が保守とリベラルに大きく分かれつつあるのかもしれない。「立正佼成会のリベラルへの傾斜も、新宗連内部の保守系教団の自民シフトも、新宗連を通じた従来の政治参画システムが機能しなくなり、新しく政治に食い込んでいくスキームを探る動きだと考えられます」(小川氏) 創価学会だけに政治力を独占させまいということか。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.10 06:15
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『聖母の美術全史──信仰を育んだイメージ』著・宮下規久朗
【書評】『聖母の美術全史』中世以来のマリア像がたどった歴史をふりかえる
【書評】『聖母の美術全史──信仰を育んだイメージ』/宮下規久朗・著/ちくま新書/1375円【評者】井上章一(国際日本文化研究センター所長) 今日の美術家は、聖母マリア像の制作に、あまり情熱をそそがない。少なくとも、自分の美術家生命をそこにかけようとする作家は、かぎられよう。また、現代の美術界は、かりにそういう仕事と遭遇しても、これを美術とはみとめまい。美術以外の何物かとして、あつかうだろう。日本のような非キリスト教文化圏にかぎった話ではない。カトリックの信仰があついところでも、状況は同じであろう。 しかし、そんな美術界も、古い時代のマリア像なら、美術作品とみなしやすい。たとえば、ラファエロの聖母子像は、美術史上にかがやかしい地位をしめている。もちろん、ダ・ヴィンチやカラヴァッジョらの作品も。 もともと、宗教と美術はふかくむすびついていた。ただ、ルネサンスのころから美術家の技量が向上する。聖母像を美しい絵や彫刻として収集するコレクターも、あらわれた。いきおい、それらは、より美術に近いものとして処遇されはじめる。 政教分離をめざす近代国家も、この傾向を助長した。官立の展示施設がおさめる宗教画を、宗教に特化した遺物とはみなされたくない。そんな思惑から、宗教色をデオドラント化し、アートとして理解する傾向が強くなる。 いっぱんに、近代化は人びとの宗教的な熱気を衰退させていく。しかし、マリア崇拝はその趨勢におさまらない。じっさい、一九世紀以後、聖母顕現の報告は、各地であいついだ。この現象は、逆に聖母像を美術という枠組からはずすよう、うながしたろう。 二〇世紀末に、マリアを冒涜するとされた現代の作品が、さわがれている。ニューヨークの市長は、これを展示した美術館へ援助をうちきると通告した。今は、マリアの擁護派が、美術と敵対することもありうる時代になっている。この本は、ヨーロッパの中世から、マリア像のたどった歴史をふりかえる。日本や中国までふくめ、多くの図版が紹介された、たいへんな労作である。※週刊ポスト2022年4月1日号
2022.03.22 19:00
週刊ポスト
作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』(イメージ)
【逆説の日本史】「日本史の最大の特徴は天皇の存在である」という事実
 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。近現代編第九話「大日本帝国の確立III」、「国際連盟への道 その1」をお届けする(第1334回)。 * * * 最近、日本史をテーマにした講演で私はよく「回り道」という言葉を使う。日本史の特徴を示す用語として、だ。日本の歴史の最大の特徴が、天皇という存在にあることを再認識してもらうためである。 私が約三十年前にこの『逆説の日本史』を書き出したのは、何度も述べてきたとおり日本の歴史学界があまりにも宗教を無視して日本史を分析していたからだ。そしてその宗教の中核的存在として天皇があることも、私が若いころの歴史学界では無視されがちだった。これにはちゃんとした理由がある。簡単に繰り返せば「天皇のために死ね」という戦前の教育を受けた人々が、それゆえに天皇を激しく憎むようになり、長じて歴史学者やジャーナリストや文化人になると天皇という存在を故意に無視して日本史を語ろうとするようになったからである。そのために歴史研究および歴史教育全体が歪んでしまった。 若い人には信じられないかもしれないが、「日本史の最大の特徴は天皇の存在である」と主張すると、私の若いころには右翼と罵倒された。私は右翼でも左翼でも無い。そもそも、この「日本史の最大の特徴は天皇の存在である」は、イデオロギーや思想の問題とは関係無く、右翼であろうが左翼であろうが中立であろうが、認めざるを得ない客観的事実である。天皇とは日本以外の国の歴史には存在しない特別な存在である、という認識からスタートしないと日本史はわかるはずが無い。「回り道」というのはそういうことで、他の国なら藤原氏が奈良から平安時代にかけて日本唯一の権力者になるのも簡単であった。ロシア革命で皇帝一家が皆殺しにされたように天皇一家を皆殺しにしてしまい、これからは自分が天皇だと名乗ればいいわけだ。中国ならそれができるし、ヨーロッパでも中東でもそれができる。単に皇帝や国王を殺しただけなら暗殺犯だが、たとえば中国なら現在の皇帝が持っている軍事力を超える力で皇帝を倒せば、自分が皇帝になることができる。元朝を倒して明朝を建て皇帝となった朱元璋が典型的で、朱一族は元朝の皇帝一族とはなんの血のつながりも無い。しかし王朝交代を実現し、皇帝になることができた。日本以外ではそれが可能なのだ。 ところが、日本だけそれができない。遅くとも天武天皇のころから、日本を治めるのは天皇家の濃いDNAを持つ者に限るという信仰が確立してしまったからだ。だからこそ藤原氏は苦心惨憺して平安時代には藤原摂関政治を実現した。天皇の幼少時には摂政、元服しても関白と称して天皇家の権力を奪った。これが「回り道」である。外国ではそんなことをする必要が無い。外国なら「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の」と詠んだ「日本一のゴーマン男」藤原道長あたりで、藤原氏が天皇になっている。ちなみに、日本の平安時代に西ヨーロッパではメロヴィング朝が滅びカロリング朝に王朝交代したが、その立役者であるカール大帝はメロヴィング朝の宮宰(日本で言えば侍従長あたりか。あくまで家臣)の子孫である。王様が弱みを見せれば臣下に王位ごと乗っ取られる。それが世界の常識なのだ。 しかし、日本はそうでは無いから「大変」だった。一昔前は、いやいまでもそうかもしれないが、外国人が日本史を学んだときにもっとも不審に思うのが「源頼朝はなぜ天皇家を根絶やしにして自分が天皇にならなかったのか」ということだった。外国人つまり世界史の常識で言えば、「源頼朝は天皇になっているはず」なのである。頼朝は平家打倒を果たした日本最大の軍事力の持ち主であり、その気になればいつでも天皇一家を皆殺しにできた、と外国人は考えるわけだ。しかし、じつはできない。 その頼朝よりも外国人の目から見れば「天皇になるチャンスがあった」のが、今年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公、北条義時なのである。なぜなら、後白河法皇は決して頼朝とは戦おうとはしなかったが、承久の乱の首謀者後鳥羽上皇はまさに北条一族および鎌倉幕府を倒そうと兵を向けてきたではないか。まさに絶好のチャンス、正当防衛で相手を「殺し」ても、世界中どこの国でも文句は言われない。「先に攻めてきたほうが悪い」のであるから、徹底的に敵を殲滅してもまったく問題無い。それが世界の常識である。しかし義時は戦争に勝ったとき、天皇家に手を回して後鳥羽上皇を島流しにはしたものの天皇家本家には手を付けなかった。結局、藤原氏と同じで「回り道」をしなければならないのである。藤原氏の「回り道」は摂関政治で、武士たちの「回り道」が幕府政治というわけだ。 武士たちは実質的には天皇家の権力を奪い取ったのだが、形の上では「天皇家から任命された武士の代表の征夷大将軍(あるいはその番頭の執権)が天皇の代理として日本を統治する」という建前を貫かざるを得なかった。自分たちは決して天皇にならないからである。だからこそ、約七百年にわたった武家政治の終わり、つまり幕末にはその建前を逆手にとって「幕府がお預かりしていた日本の統治権を天皇家にお返しする」つまり大政奉還という形で決着をつけることが可能だったのである。またこの流れを知っていれば、その「回り道」を拒否してまったく新しい権力を築こうとした織田信長のユニークさも明確になる。神の子孫である天皇を超えるには、自分が神となるしかない。だから信長は自己神格化をめざした。日本の「ルール」のなかでは、それをやらないと天皇家に取って代われないのである。頭がおかしくなったのでも、思い上がったのでも無い、そうせざるを得なかったのだ。それゆえ兄貴分の信長の失敗を見ていた徳川家康は宗教面のブレーンとして専門家の天海僧正を採用し、最終的に自分を東照大権現という神に祀り上げることに成功したのである。 おわかりだろう。「日本史の最大の特徴は天皇の存在である」ことがわかっていなければ、日本史などわかりようもないのである。晩年は肥満体だった明治帝 大日本帝国の成立もそうである。近代的な西欧型の国家を作るためにもっとも重要なことは、「万人平等の市民社会」をどうやって建設するかだ。これは、朱子学を基本思想としている朝鮮国(大韓帝国)や清帝国では絶対に実現不可能な課題である。しかし大日本帝国は、というより江戸時代以来いわゆる「勤皇の志士」たちは、その朱子学を逆手にとって神道と一体化させることによって「四民平等」という困難な課題を達成した。言うまでも無く、大日本帝国憲法では「大日本帝国は天皇が統治する国家である」と規定している。したがってこの時代の日本史つまり大日本帝国史においては、天皇がどのような人物でどのように活動したかということも重要な分析事項になる。 現在も日本国憲法において天皇は「国民統合の象徴」であるが、こうした天皇重視の伝統が日本国憲法が将来改正されるとき(必ず改正される)に変わるかどうかはわからない。しかし、それ以前の歴史については、明治時代の終わりつまり歴史の分岐点を、明治天皇の崩御でとらえなければならないだろう。そこで少し時間を戻して、明治天皇とはどういう人物であったかを少し述べよう。こうしたとき、まず百科事典の客観的で通説的な評価を紹介するのがこの『逆説の日本史』の基本的なやり方だが、明治天皇に関する記述はあまりにも多く、全部を引用しているとそれだけでこの回が終わってしまうので、私がもっとも「簡にして要を得」ていると考える明治天皇の履歴を紹介しよう。それは次のようなものである。〈第122代天皇。在位1867―1912。嘉永(かえい)5年9月22日生まれ。孝明天皇の第2皇子。母は中山慶子(よしこ)。父の死により16歳で践祚(せんそ)。その10ヵ月後幕府は大政を奉還。五箇条の誓文を公布し、新政府の基本方針をしめす。明治と改元して一世一元とさだめ、京都から東京へ遷都。欧米の制度や文化をみならい、政治、経済、社会、教育、軍事を改革し、大日本帝国憲法や教育勅語などを発布して、立憲国家・近代国家確立に献身した。在位中、日清(にっしん)・日露両戦争、大逆事件がおこり、韓国併合がおこなわれた。和歌をこのみ、約10万首の詠歌をのこした。明治45年7月29日死去。61歳。墓所は伏見桃山陵(ふしみのももやまのみささぎ)(京都市伏見区)。幼称は祐(さちの)宮。諱(いみな)は睦仁(むつひと)。【格言など】四方(よも)の海みなはらからと思ふ世になど波風の立ち騒ぐらむ〉(『日本人名大辞典』講談社刊) この簡潔な紹介でも四百字詰め原稿用紙一枚分ぐらいは食ってしまうが、それだけ本人の功績が偉大で膨大であるということでもある。ただ、せっかく紹介しておいてケチをつけるのもなんだが、最後の一文は【格言など】という言い方では無く、「御製の和歌」と正確に記すべきだろう。せっかく本文に「和歌をこのみ、約10万首の詠歌をのこした」とあるのだし、この歌は孫である昭和天皇が一九四一年(昭和16)の日米開戦直前に平和を望み繰り返し詠じたことでも知られているのだから。ちなみに、明治天皇と昭憲皇太后夫妻の霊を合祀した東京の明治神宮では、おみくじに二人の御製のどちらかが載せられている。 さて、明治天皇には『明治天皇紀』という宮内省(当時)が細かく記録した行動記録がある。また、身長等のデータもある。伝記『明治天皇』(新潮社刊)の著者であるドナルド・キーンは、そのダイジェスト版とも言うべき『明治天皇を語る』(新潮新書)のなかで、天皇の身長について「崩御の当日に皇太后の許しを得て測られた結果によると、身長は五尺五寸四分、約一六七センチメートルでした。当時としては大柄です。残念ながら体重は測られませんでした」と述べている。ちなみに、私の身長もちょうど一六七cmである。残念ながら現代の基準では決して「大柄」では無いが。 では、明治天皇の体重はどうだったのか? これについては面白いエピソードがある。ドナルド・キーンによれば、明治天皇は新聞を読むことが好きでは無かったが、そうなった理由はある新聞に「帝の体重は七十五kg」というデタラメを書かれたことだと言うのだ。「朕はそんなに太ってはおらんぞ」ということだったらしい。実際、天皇は若いころは乗馬が好きで、よく体を鍛えていた。子供のころは京都で女官たちに育てられていたのだが、東京へ移ってからは帝として必要な胆力を鍛えていただくという方針で、江戸無血開城のときに活躍した元幕臣山岡高歩(号は鉄舟、通称は鉄太郎)らが侍従を務めた。その影響で、華美を嫌い質素倹約を旨とする性格に育った。前にも述べたが、自分の贅沢のために国防費を削って税金で豪華宮殿を造らせた清の西太后などとはまるで正反対の生活態度であった。あまり指摘されないことだが、当時日本にやってきた清国や朝鮮国の留学生たちも、自分たちの国の「皇室」と日本を比較して、やはり日本を見習うべきだと考えたことは想像に難くない。 体重の話を続けると、天皇は晩年は肥満体だった。甘いものが好きだったからである。またいわゆる大酒飲みで、若いころは日本酒、晩年はワインを好んでいた。皇太后が身長の計測は許しても体重を測らせなかったのは、そのためかもしれない。記録に「重い体重」が残ってしまうからである。崩御は満年齢で六十歳を迎える年の七月三十日(誕生日は11月3日。戦前はこの日は明治節という祝日だった)だが、晩年の数年間は糖尿病と慢性腎臓炎に悩まされていたという。時々昏睡状態に陥ることもあったらしい。糖尿病の影響で歯も相当弱っていたようだが、歯医者に罹ろうとはしなかった。いや、歯医者どころか明治天皇は「自分の健康にまったく無関心でしたし、生涯大の医者嫌いでした」(引用前掲書)だったのである。その理由についてドナルド・キーンは、「自分は大丈夫だろう、自分のような丈夫な人間は医者とは関係ないだろうと思っていました」(引用同)と述べているが、この点について私には異論がある。単なる健康過信で「医者嫌い」になったのでは無く、西洋医学が嫌いだったのではないか。私がそう考える理由は、この連載の愛読者あるいは単行本『逆説の日本史 第二十六巻 日露戦争と日比谷焼打の謎』を読まれた方にはおわかりになるはずである。(第1335回につづく)【プロフィール】井沢元彦(いざわ・もとひこ)/1954年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。TBS報道局記者時代に独自の世界を拓く。1980年に『猿丸幻視行』で江戸川乱歩賞を受賞。『逆説の日本史』シリーズのほか、『天皇になろうとした将軍』など著書多数。※週刊ポスト2022年3月18・25日号
2022.03.12 16:00
週刊ポスト
MLB名物記者も興奮「新庄がビッグボスで本当にOKなの?」
MLB名物記者も興奮「新庄がビッグボスで本当にOKなの?」
 アメリカのスポーツメディアでも、北海道日本ハムの“ビッグボス”新庄剛志・監督は注目の的になっている。イチローや大谷翔平といった日本人メジャーリーガーの取材で定評のあるロサンゼルス・タイムズの名物記者ディロン・ヘルナンデス氏に聞くと、流ちょうな日本語で開口一番こう言い放った。「まずありえないこと(が起こった)。ふざけているんじゃないのか(と、思った)。あの日本で(こんなことが起こるとは)」「あの日本」とはどういう意味か。彼はこう続けた。「アメリカの場合は、(監督や選手が)ふざけていても才能があれば上にいけるが、日本はどうなんだろう? 本当に新庄監督で通用するの? これがOKなの?」 ヘルナンデス氏の母親は日本出身。言葉もそうだが、日本流の厳しい躾を受けて育ったという。日本にも何度も取材で訪れており、日本社会やいわゆる「体育会系」の世界はよく知っているからこその疑問なのだろう。監督就任はもちろん、開幕前から想像を絶する「ビッグボス・ブーム」が起きたことにも唖然としている様子だ。 確かに、新庄はイチローと同時にメジャーリーグ(MLB)に渡って活躍し、「日本人選手として初めてワールドシリーズに出た野手」にもなった。メッツ時代のバレンタイン監督をして「MLBでベストの中堅手」と言わしめた選手だ。ヘルナンデス記者は、新庄が引退した後もタレント、実業家、クリエーターとして活躍してきたこともよく知っている。 それでもなお、伝統も実績もある名門チームが、監督はおろかコーチ経験さえない新庄監督を抜擢したことに驚きが隠せない。しかもそれを日本中のファンが応援しているという現象は、同氏が20年間取材してきた日本球界で初めてのことだったという。「日本の野球はちょっと宗教っぽいところがある。例えば甲子園の高校野球だ。死に物狂いで練習し、試合に勝ち抜き、選抜されて甲子園の土を踏む。彼らは母校と地元に栄誉をもたらすために必死だ。そのプロセスが大事だし、そのなかで人間性が磨かれる。 ショウヘイが謙虚なのは、高校時代、トイレ掃除をすることで、フィールドで一番高いマウンドに立つピッチャーがどういう存在なのかを学んだからだ。ヒデキ(松井秀樹)もショウヘイも、むろん成績もすばらしいが、日本の『野球道』で体得した人間性がアメリカでもファンの好感を呼んで愛された。イチローさん(彼はイチローだけは「さん」付けにする)を見て、この人は野球以外でもきっと成功したと思う。立派なジェントルマンだ」 そのイチローの活躍が鮮烈すぎたために、MLB時代の新庄は全米メディアではあまり注目されなかったが、メッツではマイク・ピアッツァ、ジャイアンツではバリー・ボンズといった超一流選手と交友して成長し、ヘルナンデス記者は、彼が常に「チーム・ファースト」を貫き、自分が三振してもチームが勝つと大喜びする姿が印象に残っているという。「MLBはアナリティック(データ重視)で結果がすべて。結果を出せばファンは喜び、ダメだとブーイングする。それ以外のパフォーマンスにはあまり関心がないんだ。MLBのチケットは高い。家族4人で行けば、駐車料金や飲み食いを入れて、すぐ500ドルになる。だから選手には真剣で最高のプレーを求める。いい加減なプレーは許さない」 つまり、新庄の派手なパフォーマンスは、アメリカではあまり評価されていなかったというわけだ。それが、「宗教っぽい野球」を好む日本でこれほど受け入れられたことがヘルナンデス記者には驚きだったようだが、それだけに心配もしている。「アメリカ球界では『名選手は名監督にはなれない』と言われる。一流選手はみなフィジカル・ギフテッドだが、その技術をそうでない者に教え込むことはできないからだ。日本では巨人の長嶋(茂雄)、王(貞治)、原(辰徳)といったスーパースターが監督になっているが、そこは日米の大きな違いだ。新庄監督も客寄せや親会社のイメージ戦略が見え見えだが、負けが続けばバッシングされる。彼はどうしても勝たなければならない」 もっとも、破天荒な言動が目立つ新庄監督は、記者会見はじめテレビやブログでも、決して人を傷つけたり、侮辱したりはしない。政治的発言も一切しない。すべてのファンに楽しんでもらおうという気配りは、もしかするとアメリカで身につけたものかもしれない。「(MLBでは)ファンは王様だ。そしてベースボールとは選手もファンも楽しむものだということだ。ショウヘイはベースボールを楽しんでいるから二刀流もできたし、オールラウンドプレーヤーになれた。イチローさんもそうだった。だから(強打、強肩、瞬足の)イチロー二世・鈴木誠也は引っ張りダコなんだ」 はっきり言わなかったが、ヘルナンデス記者は、日本の「野球道」もメジャー流の野球観も知る新庄監督が日本球界の変革者になることを期待しているようだった。■高濱賛(在米ジャーナリスト)
2022.01.30 07:00
NEWSポストセブン
読書家の壇蜜とオカダ・カズチカが選んだ「2021年 私の3冊」
読書家の壇蜜とオカダ・カズチカが選んだ「2021年 私の3冊」
 ステイホームの時間も長かった2021年、有名人たちはどんな本と出会ったのか? 読書家として知られるプロレスラーのオカダ・カズチカさん、壇蜜さんに「私が選ぶ3冊」を聞いてみました。●壇蜜さん(タレント)/コロナ禍の日常を綴った『新・壇蜜日記 人妻は嗜好品』が発売中『ふたりエスケープ』/田口囁一/百合姫コミックス 常に締め切りに追われている新人漫画家の後輩と、現実逃避がライフワークの働かない先輩が織りなす女ふたり同居の物語。先輩の奇想天外な行動に振りまわされながらも、どこか気持が救われる後輩が可愛い。ガールズラブ要素もほんのり。トゲトゲした現実に疲れたら読みたいマンガ。『ハンディ版 オールカラー よくわかる俳句歳時記』/石寒太/ナツメ社『こども世界の宗教 世界の宗教と人々のくらしがわかる本』/島薗進・監修/カンゼン●オカダ・カズチカさん(プロレスラー)/2021年、新日本プロレスの「G1 CLIMAX」を制覇!『経験 この10年くらいのこと』/上田晋也/ポプラ社 本を読んで笑う人なんていないでしょ? そんなオカダの考えを変えた本です。初めて本で笑ってしまいました。ニヤニヤするだけではなく、声を出して笑いました。上田さんの例えツッコミを文字でも味わってほしい。今年1番沢山の人に勧めた本です。『ザ・ファブル The second contact』/南勝久/ヤンマガKCスペシャル『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』/藤尾秀昭・監修/致知出版社※女性セブン2022年1月6・13日号
2021.12.25 07:00
女性セブン
維新の代議士会会長を務める杉本和巳氏(時事通信フォト)
維新・杉本和巳氏が議員会館で「オ~ム~」と唱えるヨガ儀式 秘書が続々退職
 大躍進の日本維新の会に、さっそく議員たちの問題行為が浮上している。維新の代議士会会長を務める杉本和巳氏(61)は、「オーム・チャンティング」というヨガ儀式を地元事務所や議員会館で“信者”を集めて定期的に開催しているとして、議員会館の不適切利用の疑いなどを『週刊文春』(11月11日号、11月18日号)に2週連続で報じられた。 杉本氏の熱心な活動は、永田町の一部では知られた話だったという。「ドイツで設立された愛と献身の道を説くという団体の教えをもとに、議員会館の執務室での『オーム・チャンティング』では杉本夫妻と“信者”数名が輪になって『オ~ム~』と唱える。杉本氏曰く『国会を浄化している』そうです」(維新関係者) もっとも、問題視される行為は議員会館の不適切利用だけではなかった。「2019年に団体の創始者が来日した際に杉本氏は正式に“信者”になったと語り、より熱心になった。事務所の政策秘書は“入信”を拒否したようですが、それによって嫌な思いをすることがあったようで10月の衆議院解散を機に辞めています。『円満退職』ですが、杉本氏は党本部の関係者や維新の有力議員らに『言うことを聞かないから雇わないほうがいい』と一方的に告げ回って、秘書の再就職を妨害するような行為をしていたと聞きます。党本部周辺も困惑していました」(同前) 杉本事務所に見解を訊ねると、代理人弁護士名の文書で「そもそも、オーム・チャンティングは、アートマクリアヨガという心的ヨガの技法の中の補完的な技法です。杉本氏といたしましては心身の健康維持と精神安定、精神集中を目的として行っているヨガと捉えており、宗教行事とは歪曲誇張表現と存じております」として、政策秘書に対しては「ヨガへの参加をお誘いしたことはございますが、当該団体への勧誘はしておりません」「杉本氏は党本部や有力議員に、『言うことを聞かないから雇わないほうがいい』という連絡はしておりません」「党幹部に対して、(中略)公器たる政党の政策秘書としては相応しくないという意見を伝えたことはございます」と回答した。 だが、“入信”しない秘書が辞職したケースはこれだけではない。地元事務所の元公設秘書は、本誌・週刊ポストの取材にこう答えた。「初出勤した日に第一秘書から杉本氏が宗教活動に熱心なことは説明を受けました。事務所で週に1回は開催されるヨガ儀式に杉本夫妻、秘書など私以外のスタッフが参加するため、その日の業務は“入信”してない私1人でこなす状態に。愛知維新の会代表でもある杉本氏の誘いで団体に“入信”した秘書や市議が周囲を固めるようになり、“入信”しない人間は必要としないことがよくわかったため、1年ほどで公設秘書を辞めました」 この元公設秘書について、杉本氏の代理人弁護士は「ヨガへの参加を勧誘したことはございません。そもそも、『オーム・チャンティング』については宗教行事ではないと認識しておりますが、(中略)内心の自由、信仰の自由に関わる問題であり、当該元公設秘書の退職について、杉本氏が何らかの意見を述べるべき立場にはないと考えております」と回答した。国会は浄化されるのか。※週刊ポスト2021年12月10日号
2021.11.29 11:00
週刊ポスト
甲子園の決勝は智弁同士の熱戦だった
雨続きの甲子園決勝「智弁対決」 母体の辯天宗は「水の神様」だった
 2年ぶりに開催された夏の甲子園決勝は、智弁和歌山(和歌山)と智弁学園(奈良)の「智弁対決」となった。系列校同士の対決にSNS上では「ユニホームが似ていて見分けが付かない」「紅白戦のようだ」などと盛り上がりを見せた。 優勝した智弁和歌山は1978年、準優勝の智弁学園は1965年に、宗教法人「辯天宗」を母体として開校したが、校名以外の面では「宗教系学校」としての印象はあまり強くない。その理由を『宗教問題』編集長の小川寛大氏が語る。「辯天宗は大森智辯氏という女性を宗祖として3代にわたって続いている関西中心の新宗教ですが、穏健で寛容なのが特徴。智弁和歌山や智弁学園の野球部員も入信する必要はありません」 とはいえ、宗教系学校であることは生徒たちに少なからず影響を与えている。現在、巨人で4番を任されている岡本和真は智弁学園出身で、2014年にドラフト1位指名された際、こんなことを明かしている。「名前を呼ばれてホッとしました。こういう緊張感は初めて。甲子園でも緊張しなかったんですが。今朝は5時半に起きて後輩と“御廟(ごびょう)”と“辯天さん”にお参りにいってきました」「御廟」は宗祖・大森智辯氏を祀った霊廟、「辯天さん」は辯天宗の総本山である如意寺のこと。智弁学園からほど近い場所にあるため、野球部員もよくお参りしているという。 宗教系学校ならではのトピックもあった。2019年3月、春のセンバツで2回戦に勝利した智弁和歌山の中谷仁・監督が、雨で一時中断した試合を振り返って、「辯天様は水の神様だから、雨の時は強い」と語ったのだ。智弁学園と智弁和歌山を率いて歴代最多の甲子園通算68勝を挙げた高嶋仁・名誉監督から聞いた言葉だという。「辯天様は水にまつわる神様ではありますが、一般的には財宝神として知られ、商売をしている人たちに信仰が広まりました。雨に強いというのは野球部の中で独自に広まったものかもしれません」(小川氏) 奇しくも今回の甲子園は、過去に例がないほど雨による順延や中断が相次いだ。その甲子園で智弁対決が実現したのは、「水の神様」のご加護だったのかもしれない。
2021.08.31 07:00
NEWSポストセブン
【中学受験】願書に志望理由を書く欄が…どんなことを書けばいい?
【中学受験】願書に志望理由を書く欄が…どんなことを書けばいい?
夏以降に活発化するオープンキャンパスや学校見学、プレテスト。いよいよ中学受験が近づくと、出願方法の発表や願書の配布などがはじまります。いざ願書を書くとなると、悩ましいのが志望理由です。合否判定にはあまり関係がないと言われる志望理由欄ですが、学校へ「合格したい」アピールをできる絶好のチャンスです。どのようなことを書けばいいのか、注意点などをまとめました。どうしてその学校に行きたいのか書き出す願書へ記入する前に、志望する中学校へ「なぜ通いたいと思ったのか」をはっきりとさせておく必要があります。そのためには、入念な下準備が必要です。志望理由をしっかりと考えられるように、学校の魅力的な点を見つけてみましょう。オープンキャンパスや学校見学は必ず参加校長先生や、実際に通学している在校生の方たちのお話は志望理由の宝庫です。オープンキャンパスなどのイベントには必ず参加するようにしましょう。お話を聞かせていただく際には、なるべくメモを取るようにします。自分が共感したこと、感心したこと、感銘を受けたことなどには、下線を引くなどしておくと、実際に志望理由を書くときに役立ちます。余裕がある場合は、その時に感じた自分の気持ちもメモしておくといいでしょう。また、学校のパンフレットも合わせてチェックし、学校が強調している教育方針や独自のカリキュラムなども見つけておきましょう。親だけでなく子どもといっしょに考える最初は箇条書きでもよいので、なぜその学校に行きたいのかを書き出していきます。この作業は、願書を書くのが親だったとしても、子どもと一緒に行うことがベストです。その理由は二つあります。一つ目は子どもの「合格したい」気持ちが強くなるからです。「この学校へ行きたいなぁ」と、なんとなく頭で思い描くより、文字にして認識すると現実味が増します。二つ目は面接がある場合、願書と面接で志望理由にズレがあると印象が良くないからです。子どもの言葉で、志望理由がきちんと話せるようにしておく必要があります。願書に志望理由を書く際の注意点願書は作文や手紙とは違います。決められた枠内に、簡潔に志望理由を書ききらなければいけません。そのためには、文章のテクニック以前に、言葉遣いにも注意を払う必要があります。下書きを何度も添削して、ベストな文章を作り上げましょう。願書の書式は学校によって違います直筆の願書の場合は、いきなり本番の紙に書くのではなく、数枚コピーをとって下書きをしましょう。文章の長さや文字の大きさなどに注意しながら志望理由を書きます。また、親世代の受験とは違い、今はオンライン出願もあります。オンライン出願の場合は入力できる文字数に制限があります。元になる文章をパソコンのワープロソフトで下書きし、文字数をカウントしながら文章を練り上げていくのがおすすめです。どちらの場合でも、文章を書く際には、一文が長くなりすぎないようにしましょう。余計な修飾語を入れると内容が見えづらくなる場合があります。また、たくさん志望理由があったとしても、その中の1つか2つにフォーカスして書きましょう。あまり内容を詰め込みすぎると、分かりづらい文章になってしまいます。親が書く場合と子どもが書く場合中学受験の願書は、指定がない限りは親が書きます。そのため、志望理由欄には親目線での文章を書くことになります。自分たちのことは「私共」、子どものことは「息子・娘」、学校のことは「貴校・御校」など、言葉遣いにも気を付けましょう。時折、子どもの志望理由を書く欄を設けている学校もあります。その場合は、子どもが自分自身の目線で文章を作ります。自分のことは「私・僕」、親のことは「父・母」、学校のことは「貴校・御校」と書くように教えてあげてください。子どもが文章を書いた場合、誤字脱字や言葉遣い、文章構成などのチェックをします。ただし、文章自体を書き換えるなどはしない方がいいでしょう。やけに大人びた文章を書くと、親が考えたと先生に思われてしまいます。志望理由は学校に合わせて考えましょう複数校受験するからと言って、志望理由の使いまわしは良くありません。なぜなら、どの学校にも当てはまる志望理由には個性がないからです。受験生である子どもの個性だけでなく、学校の個性も感じられず、魅力が伝わりにくい文章になります。ここでは、志望理由を考える糸口の探し方を提案します。校風や教育理念への共感から志望理由を書く私立中学校には、それぞれの校風や教育方針にはっきりとした個性があります。分かりやすい例では、キリスト教や仏教系の学校です。学校説明会でも、それぞれの宗教の教えを元にした教育についてのお話が出てくるかと思います。それらの宗教の信者ではなかったとしても、共感できる部分があれば、そこを糸口にして、家庭での教育方針と絡めた文章を考えることが出来ます。ただし、ミッション系の学校だからといって、「毎週ミサに行っています」というようなアピールをするのではなく、「他者への思いやりを育みたい」など、宗教の教えを通して子どもの心の成長を願う内容を書くようにしましょう。もちろん、宗教系の学校でなくても、教育理念などから共感できる部分を探すことができるはずです。子どもの将来の夢から志望理由を書く子どもの将来の夢がはっきりとしていて、大学進学実績や卒業生の職業などから志望校を決めた場合、そこから志望理由を考える方法もあります。たとえば、子どもの将来の夢が医師だった場合は、理系教育に力を入れている学校を志望しているはずです。「将来の夢は医師」や「数学や理科のカリキュラムに魅力を感じている」ことを入れ、学校見学や授業見学の感想として「在校生の方々の生き生きとした表情」や「先生方のわかりやすい指導に感銘を受けた」など、実際に目で見た感想を盛り込んでいきましょう。「将来の夢は海外留学」であれば、英語関係のカリキュラムや取り組みについてなど、子どもの将来の夢に必要な勉強が出来ること、子どももそれを切望していることを書くといいですね。おわりに願書に書く志望理由は、難しいことを考えず、素直に思った通りに書けば良いと思います。無理に難しい表現や言葉を書くと、本当の思いが伝わりづらい文章になりがちです。普段から文章を書いている方であれば自然に言葉を紡ぎだすことができると思いますが、慣れていない方は平坦で分かりやすい文章を書くことを心がけて志望理由考えてみてはいかがでしょうか。※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
2021.07.20 10:00
たまGoo!
子どもの未来のために海外教育移住!やはりアジア?アメリカ?
子どもの未来のために海外教育移住!やはりアジア?アメリカ?
子どもに海外で教育を受けさせたい場合や、国際感覚を身につけてほしい時に選択肢として挙がるのが、海外教育移住です。最近では、家族で子どもの教育のために海外教育移住する人が増えており、その人口は年々多くなってきていると言われています。ここでは、そのような海外教育移住について詳しく解説しています。子どもの未来のための海外教育移住とは?それでは早速、子どもの未来のための海外教育移住についてお伝えしていきましょう。現在、実際に海外で生活している日本人は、135万人を超えています。LCCも多く飛び始めていて、海外での生活は以前よりもさらに身近になってきているのです。海外移住する日本人は増えている?さてここで気になるのが、135万人以上の日本人が、どのような国を移住先として選んでいるのかという事ではないでしょうか?海外で生活している日本人は、この20年間で倍以上に増えています。以前から多かった大企業の駐在員のほかに、個人で起業している人や中小企業などさまざまな人が海外で住む時代になっています。また、日本人が多く住む海外移住先は、やはりアメリカやカナダなどの北米です。次いで多いアジアは、日系企業の約70%近い企業が拠点としています。海外教育移住として親子留学している人の割合外務省が発表している海外教育移住している小学生・中学生の人数は、8万2千人を超えているというデータが出ています。海外教育移住先としては、やはりアジアが一番多いという結果になっているようです。海外教育移住をする日本人が年々増えているという事を踏まえると、これからさらに子どもを連れて、海外教育移住する家族は増えてくると予想されています。有名人の方でも子どもの教育を考え海外教育移住をしている人も。【海外教育移住している有名人とその理由】有名人場所理由つんく(音楽プロデューサー)ハワイグローバルな人間に育ってほしい小島慶子(タレント)オーストリアのパースバイリンガルに育てたい本木雅弘・内田也哉子(俳優)ロンドン長女のロンドン留学に伴い中田敦彦(YouTuber)シンガポール子供を英語圏で教育したい低くなる海外教育移住の垣根とは?私たち日本人は、精神的幸福度や国際感覚、英語力などこれからのIT化が進む世界で必要とされる「創造性」や「EQ」の分野が苦手という特徴があります。このような部分が、子どもの頃から伸び伸びとした教育環境で育つことで、国際社会で渡り歩ける未来人を作ることが出来るのです。そのような意味で、海外に海外教育移住して学び、パンデミックによって「どこでも出来る仕事」が増えてきている今だからこそ、海外教育移住の垣根はさらに低くなっていくと予想されています。海外教育移住のメリット・デメリットとは? 次に、海外教育移住のメリット・デメリットをご紹介していきたいと思います。子どもと共に海外へ移住するという選択は、さまざまな側面から移住先を検討した上で決定する必要があります。そのため、海外教育移住のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、決めていくことが大切です。海外教育移住のメリットとはではまず、海外教育移住のメリットからご紹介していきましょう。海外教育移住のメリットとしては、「子どもに国際感覚を身につけさせる事が出来る」「日本以外での生活の選択肢・生き方が持てる」「過ごしやすい気候の国で暮らす事が出来る」「日本の財政面の不安を減らす事が出来る」などが挙げられます。日本国内だけで生活していると、どうしても広い視野で考えたり、色々な選択肢があるという感覚が育ちにくいという傾向があります。しかし、海外教育移住をすることで、そうした狭い視野から広い選択肢を知る機会を得る事が出来るのです。海外教育移住のデメリットとは次に、海外教育移住のデメリットをご紹介していきましょう。海外教育移住のデメリットとしては、「海外教育移住が子どもに合わない可能性もある」「衛生面が心配」「言葉の違い」「文化や宗教の違い」などが考えられます。日本は、基本的にどの地域にいても、衛生面が著しく悪いという場所はありませんが、海外になると衛生面には特に注意が必要になります。また、文化や宗教に関しても、海外教育移住先によっては、事前に子どもに合うかどうかをしっかり見極めないと、教育以前の問題になる可能性があるのです。海外教育移住には子育て軸が必要海外教育移住は、国際感覚を持った人材を育成するのに魅力的なものですが、「海外教育移住=安定」というわけではありません。海外教育移住をすれば、何もしなくても優秀な人材が出来上がるのではなく、あくまでそれぞれの家庭の子育て軸があってこそ成り立つものです。どのような人間になってほしいのか、海外教育移住先でどのようなスキルを学ばせたいのかを、家族でしっかりとした軸を持つことで、子どもに合った教育先を選ぶ事が出来るでしょう。海外教育移住先の選び方のポイントとは?最後に、海外教育移住先の選び方をご紹介していきます。海外教育移住をする際は、移住先の選び方はとても重要です。ここでは、海外教育移住先を選ぶ際に、特にチェックしておいた方が良いポイントについてお話します。治安などを事前にチェックするまず1つ目は、治安の良さなどを事前にチェックするという事です。日本国内では、治安の違いはさほどありませんが、海外ではそういうわけにはいきません。子どもを連れて安全に暮らすためには、治安の良い国を選ぶ必要があります。1つの基準としては、「銃社会ではない」という点を判断基準として持っておくと良いでしょう。なるべく子どもが安全に生活できるためには、銃の使用が規制されている国を選ぶと安心です。海外教育移住で必要な費用などをチェックする2つ目は、海外教育移住で必要な費用などをチェックする事です。海外教育移住では、主に「教育費」「生活費」「ビザ取得費用」準備する必要があります。海外教育移住先でインターナショナルスクールに通う場合は、現地の日本人学校よりも費用がかかります。そして生活費に関しては、移住先の国にもよりますが、例えばハワイは物価が高いため日本よりも生活費は高くなります。親の仕事やビザに関する事をチェックするそして3つ目は、親の仕事やビザに関する事です。ある程度長い期間、海外移住する場合はビザの取得が必要になります。海外教育移住先によっては、ビザを取得するのに、1,000万円以上の定期預金が必要という国もあります。また親の仕事に関しては、移住先で仕事が出来るのか、ビザの種類によっては「働いてはいけない」というルールがある場合もあるので、しっかり確認しておくようにしましょう。おわりに海外教育移住は、子どもにとって日本の中だけでは学ぶ事が出来ない、国際的な選択肢を学べる貴重な機会でもあります。今回ご紹介した海外教育移住先を選ぶ際のポイントを参考に、それぞれの家族に合う移住先を選ぶようにしましょう。※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
2021.05.12 10:00
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