「ぼくの楽しみ方はね、もともと文人好きなものだから、彼らにゆかりのある横丁を訪れては、どこを気に入ったのかなあと、思いを馳せるのが好きなんですよ」(矢吹さん)

 そんな渋いおじさまたちでにぎわった横丁が、今、空前の大ブーム。若い女性客が急増しているのだ。日本の都市論に詳しい、ライターの速水健朗さんはこう話す。

「昔ながらの横丁のある街は、大規模な再開発の手が回っていない街ともいえます。とくに単身者は、“職・住”と“食・住”が近接しているところに住む方が便利ですから、彼女たちにとって、活気のある横丁(食)が近くにあるのはプラスですよね。さらに隣の席との距離が近く、他の客と自然に会話が生まれるようなフレンドリーな雰囲気は、画一的なチェーン店型の飲食店にはないもの。新鮮にうつるのでしょう」(速水さん)

 さらに最近は、恵比寿や中目黒、六本木などの若者たちが集う街に、 横丁の進化版ともいえる“にわか横丁”が続々オープン。明るく、安心して楽しめる食のテーマパークとして横丁ブームを加速させている。どの店も居心地がよく、女性ひとり客が多いというのも納得だ。

「でもね、そういうお店に行くと、つい親しくなることが大切と考えがちな人がいるんだけど、そうじゃなくていいと思うんです。たとえおかみさんやおやじさんと親しくならなくても、常連さんの名前を知らなくても、出されたものをおいしく、おいしそうに食べれば十分楽しめます。横丁が居心地いいと感じられるということは、その街のことを好きになった証拠なんじゃないかな」(矢吹さん)

 自分だけのお気に入り横丁、さっそく見つけてみて!

※女性セブン2016年12月15日号

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