創業家が経営陣に反発したという構図は出光にも通じる。創業者・出光佐三氏は一貫して上場や外部資本の受け入れに反対していたが、佐三氏亡き後の出光では、経営陣が経済産業省と金融機関の意向をバックに、上場計画を進めた。経営陣は創業家の説得を試みたが、佐三氏の長男である出光昭介・5代目社長は父の意向を継ぎ拒否。しかし2000年、佐三氏の甥に当たる昭・7代目社長が外部資本の受け入れを表明。「数年後には上場も検討する」とも述べた。

 当時会長だった昭介氏は反対したが、メガバンクなどの説得を受け、渋々外部資本の受け入れを応諾した。

「翌2001年、出光昭介氏は会長を辞任し名誉会長に退き、以降は経営に口出しを控えるようになった。その“沈黙”を出光の経営陣は、外部資本を積極的に受け入れる経営方針を、創業家も認めていると考えてしまったのでしょう。しかし、出光家は他社との合併、それも社風のまったく異なる会社との合併は認めず、ノーを表明したのです」(同前)

※週刊ポスト2017年1月1・6日号

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