そこからの官邸の対応は、何とも白々しくなった。官邸詰め記者が呆れた言い方をする。
「政治日程にまで組み込んでいた首脳会談が“キャンセル”になった途端、官邸や外務省の幹部は“1月会談の計画なんてもともとなかった”と言い出した。恥をかかされたのを隠したいんでしょう」
直接の会談どころか、電話会談すら後回しにされていた。これまでの日米間では、新大統領や新首相が誕生するとただちに電話会談を行なうのが恒例だった。
ところがトランプ氏はメキシコのペニャニエト大統領、カナダのトルドー首相を皮切りに、インド、エジプトなどの首脳に自ら電話を入れているが、日本にはマイケル・フリン大統領補佐官から谷内正太郎・国家安全保障局長に挨拶があっただけだ。ようやく1月28日に電話会談が実現し、首脳会談の日程が決まった。
トランプ氏にしてみれば、「安倍首相とは会ったばかりだから急いで連絡する必要はないだろう」という感覚だったのかもしれないが、誤算続きの官邸では「トランプ氏はなかなか手強い」(菅義偉・官房長官)という弁解じみた声まで上がった。
※週刊ポスト2017年2月10日号