ネットニュース編集者の中川淳一郎氏
先ごろ発生した医療情報サイト「WELQ」によるパクリ記事、インチキ記事騒動は、近年急増した「キュレーションサイト」と呼ばれる情報サイトには胡散臭いものもあることを世に知らしめた。しかしこの事件は、より深い問題をはらんでいるとネットニュース編集者の中川淳一郎氏は指摘する。中川氏がグーグルへの期待をこめて解説する。
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「検索はオワコン」──5年ほど前にIT業界でよく説かれていた論である。「オワコン」とは「終わったコンテンツ」の意味で、要するに「時代遅れ」だ。じゃあ、一体何の時代が来たのかといえば「ソーシャルの時代」である。
ネットで情報を取る場合、グーグルなどの検索エンジンを使うのではなく、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどの「ソーシャルメディア」でフォローしている人が提供する情報やリンクを辿って情報を得る時代が来たということだ。
2013年頃から次々と立ち上がった「キュレーションサイト」と呼ばれる各種情報サイトでは、「死ぬまでに行きたい絶景スポット25選」や「泣ける! 兵士が突然戦地からサプライズで帰還、その時息子は……」のようなネタを次々と制作。これらは「感動した……」などとツイッターやフェイスブックでシェアしてもらう意図で作られた記事である。
とにかく「ソーシャルでシェアされるものを作ろう」の掛け声のもと、ウェブサイトの制作側は、検索をあまり重視していなかった。しかし昨年12月、この定説が完全にぶっ壊れる事態が発生。検索こそ、アクセス稼ぎの最重要事項であることが明らかになったのだ!