最近、子供に依存する親が増えているというが、一体いつ、どうやって子離れをすればいいのだろうか? 長女、長男、次男の3きょうだいの育児を経験してきた白梅学園大学学長(専門は教育学)の汐見稔幸さんが、自身の子育てルールを明かす。
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わが家では、中学を卒業する15才まで、なんだかんだと世話をしながら、必要な時には厳しく叱ってきました。高校入学後、「自分のことは進路も含めて自分で考えなさい」と宣言。私たち夫婦は相談役に退きました。
小学生はその準備段階でしたね。まず入学後、自分で上履きを洗うなどの分担をいくつかさせました。時には料理を“家族の共同作業”という形でやって、技を覚えさせていきました。
夫婦で泊まりがけの外出をし、子供たちで自炊せざるを得ない環境にしたこともあります。
お小遣いも、その範囲内でやりくりするようにと、高校生まであげました。次男は、「親の選ぶ服はダサい」と、中学生になったらお小遣いをうまくやりくりして自分で服をそろえていましたね。
中学生になったら、子供部屋には原則入りませんでした。子供は思春期になったら性的な変化も表れ、親に秘密にしておきたいことが増えてきますから。この頃の子供は、親から見れば反抗的な行動を取りますが、それは、親の手から少しずつ飛び立とうとしている証拠。妻と私は、できるだけ前から引っ張ることはせず、後ろから応援する形で見守りました。
私たちの子育てのゴールは自立にあります。「親の決めた道を歩いただけ」という人生は、子供も納得しません。人生という物語の主人公は自分、演出家も親ではなく自分、そう実感させられるよう育てたつもりです。
※女性セブン2017年3月9日号