キッズを意識した「オリエンタルホテル東京ベイ」の客室
例えば、一般的なホテルでは3日前からキャンセル料が発生すると規定されていても、3日前どころか当日キャンセルでも請求しないケースは多い。予約時のクレジットカードで決済処理か、予約申込金を受領できればよいが、それには至っていないといわれる。
一方、ディズニーホテルの強さを表しているのが、2016年4月からスタートした申込金制度。直営のディズニーホテル予約時に宿泊代金の一部を支払うというもの。申込金は宿泊料金の一部として取り扱われるが、規定日以降のキャンセルは否応なく“没収”だ。
申込金の設定は、1室1滞在につきデラックスタイプで3万円、バリュータイプで1万5000円という設定。キャンセル料も一般のホテルで3日前からというケースが多い中で、ディズニーホテルは14日前からと、ある意味でホテル業界の理想。強気のホテル運営といえよう。
そんな絶対的な人気を誇る直営ホテルに、オフィシャルホテルやパートナーホテルはどう挑んでいるのか。
前述のオフィシャルホテル、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルでは、PARK WING棟に「ドッグ・ラバーズ・スイート」を新設。愛犬と一緒に宿泊したいというゲストのニーズに応える。愛犬連れのファミリーには嬉しいサービスであるが、TDRのゲストをターゲットにするホテルでは“子ども目線”が殊に重要だ。
パートナーホテルである「オリエンタルホテル 東京ベイ」は、ベビー・キッズ連れファミリーにコアなリピーターの多いデラックスホテル。中でもママの声から生まれたという11階、12階に注目したい。
11階「ベビーズスイート」は赤ちゃんと安心して過ごせる仕掛けがたくさん。12階「キディスイート」は遊びざかりキッズも楽しめる。子ども目線が意識されたゲスト専用サロンも充実。子連れ旅行にやさしいホテルコンセプトで訴求する。繁閑差はあるが概して高稼働を維持しているという。
オリエンタルホテルは、舞浜駅から1駅離れた新浦安駅が最寄りで、決して恵まれているとはいえない立地。しかし、「1駅離れているとはいえ駅直結という立地は、広大なエリアに点在するエリア内のホテルよりも実は利便性が高い」と総支配人の森山真也氏は言う。
修学旅行などの団体客が現地で解散、各自電車でホテルへ戻るスタイルは定番だという。団体バス要らずの上、1駅で直結であれば生徒も迷うことなく戻れるだろう。もちろんホテルからパークへの無料シャトルバスも頻繁に運行している。
デラックス感のあるホテルが定番だったTDRと周辺ホテルであったが、サービスを割り切った宿泊に特化するホテル、サービスをゲストがセレクトするホテル、新たなコンセプトを打ち出す既存ホテルなどまさにカテゴリー合戦は激化している。
2020年へ向けのますます注目のTDRと周辺ホテル。訪日外国人客の増加やLCC・格安高速バスといった低廉なアクセス手段の向上など多様化するゲスト。多彩なニーズは新たなホテルやサービスが生み出される契機でもある。