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「てるみくらぶ」山田社長の謝罪会見に見るお詫びの作法

「てるみくらぶ」の旅行者への賠償は?

 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、「てるみくらぶ」山田社長の謝罪会見に注目。

 * * *
 格安ツアーが人気だった旅行会社「てるみくらぶ」が破産した。破産総額は約150億円、このうち99億円が旅行者約9万人の旅行代金に充たり、弁済率は1%程度。破産当日までメールマガジンを配信し、新聞に広告を掲載していた「てるみくらぶ」。山田千賀子社長は、前日まで資金調達の見通しが立つと思っていたと言うが、本当のところはどうなのだろう?

 冒頭、司会の社員が経緯や対応、お詫びを山田社長から説明すると述べた。すると山田社長は「今般の経緯」という言葉を聞いた瞬間だけ、口元を隠すよう手を当てた。そして書面を手に立ち上ると、またも口元を隠すように手を当て、前髪をかきあげた。

 口元を隠すように手を当てるという仕草は、何かを隠そうとする時や、言いたいことを我慢している時に出やすいと言われる。単純に分析すると、今般の経緯について話したくない隠したい事があるのかもしれない。

 いや、申し訳ないという気持ちがこみ上げ、泣きそうになったのをぐっとこらえたのかも、とも見ることもできる。だとしたら、最も迷惑をかけたと思う相手について話す時にこそ、感情が高まったり、表情や仕草に変化があるはずだが…。

 山田社長は「お客様をはじめ」という言葉をすんなり述べた。続けて「関係者の皆様に」と言いながら口元を手で覆ったのだ。謝罪したかったのは、9万人の被害者より関係者だったのか。

 破産手続きや、対応に追われる自社の社員について話した時は声を震わせ、言葉を詰まらせた。しかし、被害者に旅行できないことを理解してくれと言った時は、声は震えなかったどころか、軽く頭を下げただけだ。

 形だけの謝罪っぽいなぁ…と思って見ていると、ハンカチで目頭を押さえた山田社長のメイクは、まるで崩れていない。顔色こそ青白いが、目元のメイクはばっちり。ウォータープルーフのアイラインやマスカラなのだろうか?

 被害者に対する思いを問われると、「申し訳ないと思っています」とハンカチを持っていないほうの手で口元を隠した。申し訳なさがこみ上げたなら、ハンカチを持った手で口元を抑えるのではないだろうか。

 さらに「皆さんのお役に立つことだけを考えて…」と言いながら、身体を横に揺らして座り直した。横に揺れたのは、それは建前であり、本音は違うという意味にも取れる。謝った時は、首を曲げて頭だけを深々と下げていた。

 被害者への返済や旅行に出ている顧客の対応について、弁護士が説明している間は、身じろぎもせずじっとうなだれ、座ったまま。うなずくことも首を横に振ることもなく無反応だ。弁護士にうながされ、ようやく頭を上げるが、被害者に対する対応については、淡々と答えた。

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