ドライバーの人手不足や人件費アップが深刻さを増し、まさに“パンク状態”にある宅配便業界。それもそのはず、即日配達を謡うネット通販ニーズの高まりとともに、宅配便の取扱個数は右肩上がりに増え、年間約37億4500万個にも及ぶ(2015年度/国土交通省調べ)。
中でも、アマゾンジャパンの小口荷物などを引き受け、年間17億個超を運ぶ宅配最大手のヤマト運輸は、荷物急増に伴いビジネスモデルの転換を余儀なくされている。
先ごろ27年ぶりの値上げや時間帯指定配達の一部廃止を決めたのは、「これ以上現場の仕事量を増やしても、長時間労働による人材流出やサービスの質低下が起こり企業体力を消耗するだけ」(同社関係者)という危機感の表れともいえる。
そこで、対応策として進んでいるのが、自宅以外の拠点を活用した「宅配ロッカー」の整備、すなわち“受け取り革命”だ。
宅配ロッカーといえば、いまや新築マンションの9割に設置されているといわれる。住人にとっては荷物が届く時間帯に自宅で長時間待機している必要がないうえ、宅配事業者側も留守時の再配達にかかる運送コストや人件費が減らせる。
だが、「昼間にほとんどの人が仕事に出ている都内マンションでは、宅配ロッカーに空きがないことが多いし、ましてや一戸建てで設置している家はほとんどない」(宅急便業者)との現状も。いまだに宅配便個数の約2割が受取人不在で、約9万人の労働力が再配達に費やされているとのデータを見る限り、問題解決はそう簡単ではなさそうだ。
ならば、街中の空きスペースにも宅配ロッカーを増設して、自宅に届けられない荷物を集約。消費者に受け取りに来てもらえば事業者の負担も軽減できるのではないか──。
そう考えたヤマト運輸では、すでに駅や商業施設を中心に再配達の荷物が受け取れる宅配ロッカーを置いているが、今後は初回から消費者が荷物の受け取り場所を選択できるサービスも開始するという。
そして、4月中旬からはコンビニ大手、セブン─イレブンの店内や敷地に宅配ロッカーを順次設置していくと発表した。
ヤマトに先駆け、ローソンやファミリーマートも都内の一部店舗に日本郵便の宅配ロッカー「はこぽす」を設置したばかりだが、いま物流業界が荷物の“留め置き”に有効活用しようと熱い視線を送っているのが、全国5万7000店を超えるコンビニの巨大な店舗網なのだ。
では、宅配ロッカーを設置するコンビニ側にはどんなメリットがあるのか。コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏はこう見る。