「物流業者と連携した荷物の受け渡しは、新たな手数料収入が見込めるうえ、宅配ロッカーを使ってのサービスということになると、店員の接客業務が不要なので店舗運営に支障をきたすこともありません。
また、コンビニにとって何よりも大きなメリットは、お客さんの来店機会を習慣化させることができる点でしょう。公共料金の支払いに来たついでにジュースなどを買っていく人が多いのと同じで、“ついで買い”を誘発することができるのです。
いま、都内のコンビニは出店の過当競争が進んで、1店舗あたりの客数は減少傾向にあります。宅配ロッカーサービスの普及は、新たな顧客を囲い込むチャンスともいえそうです」
とはいえ、商品数の拡大やATMほかの金融サービス、店内飲食できるイートインスペースの確保など、ただでさえ店内スペースの有効活用に頭を悩ませているコンビニで、宅配ロッカーを整備していく余裕はあるのか。清水氏が続ける。
「これまでコンビニが新規出店する際、通常の店舗サイズより少し広めの物件で手を出さなかったところも多い。
今後は宅配業者と連携しながら、そうした場所を物流の“中間拠点”と位置づけ、初めからコンビニ敷地の3分の1ぐらいのスペースを荷物の留め置きに使うバッグヤードにしていく方向性は十分に考えられるでしょう。宅配ロッカーであれば、店の中だけでなく店外のスペースを活用することもできます。
また、2015年にローソンと佐川急便が物流の共同会社を設立して始めているように、コンビニを起点にして、そこから小型コンテナで近隣の住宅に荷物や商品を届ける“ラスト1マイル”のサービスも効率化させることができます」(清水氏)
コンビニの宅配ロッカー設置は、今後日本の物流システムを一変させる契機となるのか。様々なビジネスに参入する“コンビニ経済圏”の拡大は、まだまだ尽きそうにない。