つまみは乾き物中心だが、はんぺん焼き(250円)なども人気


「確かにいい酒が揃っていますよね。通い始めた頃は、目移りというより喉移りして、いろいろ飲みました。そんな貴重な経験をしてきた僕は、今、焼酎ハイボールにのめり込んでいるところです。初めてこれを手にした時は、どんな味わいなんだろうってドキドキしたのですが、飲んでみたら、甘くなくて美味しい。そして、飲みごたえもあって、すっかり気に入っちゃいました。これはもう角打ちには、最高の相棒だと思っているんです」(50代、商社)

 酒の品揃えの良さと共に、彼らは、主人の中村さんにかなり惚れている。

「時期ごとに、なぜこの酒を用意したのかという理由がしっかりしている。品質管理を徹底させている。そんなふうに、ここで飲める酒は、どれも丁寧に扱われているというのが、この店の魅力ですが、それもこれも中村さんがちゃんとしているから。酒に関することだけでなくて、人柄が、裏表がなくて、フレンドリーなんですよ。彼の存在がうまい酒をさらに何倍もうまくしているのだと思いますね」(50代、公務員)

「私、仕事場は上野で、家は埼玉。そう、途中下車をしてここに飲みに来てます。そこまでして通う理由? 当然、うまくて懐に優しい酒があるからと言いたいのですが、本当のところは、マスターの魅力に負けちゃったからなんです。飲みに来てみればその理由がわかりますよ」(40代、製造業)

 そして、通い歴20年、みんなから総長と呼ばれ、信頼されている男性が、この店での角打ちの楽しさを締めくくってくれた。

「出張が多かった現役の頃は、滞在先のホテルにチェックインする前に、必ず角打ちの店を探していたものです。現役じゃなくなった今は、この1軒で楽しませてもらっています。週2~3回のペースですが、ここに来ると、酒にも人にも味があることを毎度実感できるんですよ。そして、みなさんと職業や先輩後輩に関わりなく気楽にいろいろ話せるし、聞ける。スマホの使い方も教えてもらったりして(笑い)。お陰で、時代に取り残されないでいられます」(70代、精密機械業OB)

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