衣類を保管する時の必需品である防虫剤。だが、江戸時代から昭和中期までは、高い防虫・消臭効果があるものとして“樟脳(しょうのう)”が主に使われていた。
この樟脳は、クスノキの葉や枝を蒸留して抽出できるもの。しかし、加工に手間がかかり、独特の香りが敬遠され、市場から徐々に姿を消していった。
そんな中、原料であるクスノキの端材から作られる防虫ブロック「KUSU HANDMADE エコブロック」(ブロックサイズ:縦2.7×横6.7×高さ1.6cm、エコブロック 18個+カンフルオイル10ml 桐箱入り 3600円)が、自然派志向の女性の間で人気を集めている。作っているのは、住宅建材や内装資材を販売する『中村』(佐賀県神埼市)だ。
クスノキはフローリング材としても使われているが、加工過程で端材が多く出る。
「その端材を有効活用できないかと考えていたある日、アトピー性皮膚炎のお子さんは、市販の防虫剤が使えないので、クスノキの切れ端を大工さんからもらって防虫剤代わりにしている、という話を聞きました。これだ! と思って」(同社会長・中村彰義さん・以下同)
強い防虫・消臭効果で昔から防虫剤に使用されてきたものの、乾燥したクスノキの端材をカットするだけでは、商品にはできなかった。最初は香りがしていても、しばらくすると香らなくなり、防虫効果もなくなってしまうからだ。再度表面を削ればまた香りはするが、それでは手間がかかり実用的ではない。
「クスノキの特徴であるハッカのメントールのような香りを、どうしたら持続できるかと悩んだ末、クスノキから抽出したオイルを塗れば、香りが持続するのではないかと思い至りました」
たんすの引き出しには2~3個、衣装ケースなら4~5個。密閉環境にもよるが、2~3か月に1度、ヒノキブロックにカンフル(樟脳)オイルを塗り足せば、そのまま使えるところも◎。カンフルオイルには、リラックス効果もある。強すぎず、爽やかな香りだ。
※女性セブン2017年6月15日号