梅雨から夏にかけて、寝苦しい夜を快適に過ごすためには、寝具やパジャマは重要なアイテム。涼感を誘う新素材も次々に登場しているが、昔ながらのガーゼを使った、優しく柔らかな肌触りの商品に注目が集まっている。
そもそもガーゼは、コットン糸を目の粗い平織にして漂白したもの。通気性がよくて吸湿性もあり、1枚だと透けて見えるほど薄い。しかも、織り上げたばかりの素材はゴワゴワしている。これはコットン特有の脂分や綿カス、製糸する際の糊が残っているためだ。1925(大正14)年の創業以来、寝具などを製造販売している『大東寝具工業』(京都市)広報の柳斎生さんによると、
「一般的なコットン織物は、40~80分で不純物除去と漂白ができますが、日本古来の加工法“和晒(わざらし)”では、4日間かけてゆっくり煮ながら不純物を取り除きます。これだと余計な薬材も力も加えないため、生地がリラックスした状態を保て、コットンの持つ力を最大限に引き出せます。それで、乳幼児やアトピーのかたにも安心で、優しい肌触りのガーゼができるんです」(柳さん・以下同)
このガーゼをパジャマなどに仕立てるには、2枚、3枚と重ねて裁断・縫製し、しっかりとした生地にする必要がある。
「ただ縫い合わせただけでは、ヨレや歪みが生じて見栄えも悪い。職人たちと何度も試作を重ね、開発を始めてから約2年後の2005年にやっと肌触りも満足でき、しかも見栄えのよい製品が完成しました」
そうして完成したのが、「大東寝具工業京和晒綿紗(きょうわざらしめんしゃ) ガーゼパジャマ」(白2重合わせ、1万2960円)だ。寝具やタオルはもちろん、シンプルなデザインのパジャマは、高級ホテルや旅館などに採用され、着心地が気に入ってお土産にする人も多い。
通常の洗濯機で洗っても、型崩れはほとんどせず、速乾性が高い。洗うたびにガーゼ表面がなめらかになり、肌になじむので、使い込むほどに愛着の湧く逸品だ。
※女性セブン2017年6月22日号