ビジネス

カール販売終了の3つの要因 健康志向、PB台頭、おじさん

販売終了のカール 3つの弱点

 5月25日、『明治』がスナック菓子カール(128円)の東日本での販売終了を発表した。9月以降は、「チーズあじ」と「うすあじ」を西日本のみで販売することとなるが、どうして東日本での販売終了となったのだろうか。その原因を分析する。

◆健康志向

 カールといえば手に粉がつきやすいという特徴がある。スマホ全盛のこの時代では、「手が汚れる」ことは大きな弱みとなったと言えるだろう。そして、コンビニ研究家の田矢信二さんは、「手が汚れる」ことに加えて「消費者の健康志向」もカール販売中止の後押しになった理由だと指摘する。

「近年の消費者は健康意識が高く、体によいヘルシー系や素材にこだわったオーガニック系のお菓子が人気で、カールのようなスナック菓子はどうしてもコンビニの売り場で縮小されてしまいます」

 確かにコンビニのお菓子棚を見渡すと、大豆やこんにゃくなどを利用した商品や「ノンフライ」「カルシウム配合」といった健康志向が目立つ。定番商品の『かっぱえびせん』(カルビー)にも「塩分50%カット」を謳ったシリーズがある。

◆プライベートブランド(PB)の台頭

 PBはコンビニやスーパーが独自に開発した商品でメーカーとコラボすることもある。パッケージや商品名は画一的だが、味は定番商品に負けず劣らずの上、安価なため、採算を重視してPBを導入するコンビニは多い。

「PBにおされて“棚争奪戦”に敗れたメーカーの定番商品は売り上げを維持するのが難しくなります。コンビニの棚にあるのはエリート商品ばかりなんです」(田矢さん)

◆カールおじさんのキャラの強さ

 最近のお菓子は「高級化」が大きなトレンドで、アダルト向けの「大人の〇〇」という商品が目立つ。カールも2016年2月からチーズの濃厚な味わいを盛り込んだ『大人の贅沢カール』を販売した。だがカールには高級路線が困難な事情があった。

「国民的人気キャラのカールおじさんですよ。愛されキャラのほんわかしたイメージが強すぎて、急に『大人の贅沢カール』といわれても消費者がピンと来なかった。愛着度の高い定番商品だからこそ、モデルチェンジが難しかったんです」(田矢さん)

 カールおじさん同様“濃いキャラ”で知られたのが『ベビースターラーメン』(おやつカンパニー)のキャラクター「ベイちゃん」と「ビーちゃん」だ。チャイナ服をまとって人気の2人だったが、2016年をもって“引退”した。

「今年から新キャラクターの『ホシオくん』が誕生しました。キャラの認知度が高いとカールおじさんのように商品にイメージが付きすぎるため、若い世代を意識した新キャラクターに変えたと考えられます」(田矢さん)

※女性セブン2017年6月29日・7月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

4月クールに『アンチヒーロー』で主演をつとめた長谷川博己
ドラマ『アンチヒーロー』で衣装に関する“200万円請求書”騒動 長谷川博己のオリジナルコート制作費をめぐってスタイリストと制作サイドが衝突か
女性セブン
バチカンのモンテリーズィ枢機卿(左)にインタビューしたさかもと未明さん
【拉致問題解決への祈りは続く】さかもと未明さんが振り返る「横田夫妻との交流」と「バチカン枢機卿からの言葉」
NEWSポストセブン
佐賀空港を出発される愛子さま(時事通信フォト)
雅子さま「午後だけで4回もの休憩」不安視された22年ぶり佐賀訪問で初めて明かした「愛子さまとの私的な会話」
NEWSポストセブン
《防弾チョッキ着用で出廷》「フルフェイスヒットマン」は「元神戸山口組No.2」中田浩司若頭だったのか 初公判で検察が明かした「2秒で6発の銃撃を浴びせた瞬間」
《防弾チョッキ着用で出廷》「フルフェイスヒットマン」は「元神戸山口組No.2」中田浩司若頭だったのか 初公判で検察が明かした「2秒で6発の銃撃を浴びせた瞬間」
NEWSポストセブン
ドキュメンタリー映画『Screams Before Silence』でインタビューに応じるアミット(映画の公式インスタグラムより)
《55日間のハマス人質日記》囚われた女性が語る地獄の日々「生理の時期を毎日確認されて…」【音楽フェス襲撃から1年】
NEWSポストセブン
10月8日、美智子さまは「右大腿骨上部の骨折」の手術を受けられた(撮影/JMPA)
美智子さま「大腿骨の上部骨折」で手術 待ち受ける壮絶リハビリ、骨折前より歩行機能が低下する可能性も
女性セブン
結婚を発表したマイファス・Hiroと山本舞香(Instagramより)
《マイファスHiroと山本舞香ゴールイン》2人が語った結婚の決め手と夫婦像「作ったご飯を笑えるほどたくさん食べてくれる」 結婚記念日は新妻のバースデー
NEWSポストセブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
「ほぼ丸出し」“過激ファッション”物議のビアンカ・センソリが「東京移住計画」ラッパーのカニエ・ウェストと銀座に出没、「街中ではやめてくれ」の指摘も
NEWSポストセブン
東北道・佐野サービスエリアの現在とは
《前代未聞のストライキから5年》激変した東北道・佐野SA「取り壊された店舗」名物「佐野らーめん」の現在、当時の元従業員が明かした39日間の舞台裏
NEWSポストセブン
Snow Manの渡辺翔太と向井康二
《Snow Man渡辺翔太&向井康二》“なべこじコンビ”のサウナ帰り姿をキャッチ 肩を組んだり輪になって話したり“素”の時間を満喫 
女性セブン
9月末に給料が未払いとなり、職員が一斉退職するという事態になった足立区の住宅型有料老人ホーム。千葉県内などにもある関連施設でも同じような”未払い”が発生しているという
《見捨てられた老人ホーム》東京・足立区で「人手が回らず餓死者が…」「お風呂も入れられない」給与未払いに社長は雲隠れ…元職員が明かした“現場丸投げ運営”の実態
NEWSポストセブン
田村家のお正月の風景。左・田村正和さん、右・田村亮さん
《『古畑任三郎』では今までにない自分を》俳優・田村正和さんの知られざる晩年「もうやりきった…」77才で他界した2人の兄を語る弟・田村亮
NEWSポストセブン