「なぜ女性専用?って聞かれても、あったらいいなと思ったとしか答えられなくて(笑い)」
使用料は、年に2回の合同納骨なら7万6000円、個別の納骨なら8万6000円。他に必要なのは、生前予約料5000円、名前の刻字(希望者のみ)の代金1万2000円だけなので、合計約10万円。これまで取材してきた共同墓、永代供養墓より、飛び抜けて安い。
「もともと、お墓で経済的に困っているかたの一助になりたいと、10年前に共同墓を建墓したのが始まりなので」と布川さん。どういうことですか?
「私、30年以上前からお坊さんを葬儀社に紹介する仕事をしていて、関東近郊の約130か寺のご住職とおつきあいがあるんです。13年前、葬儀社の人から『2700円しか持っていない生活保護の人の遺骨を預かっている。(自分のポケットマネーから)1万円出すので、1万円で埋葬してくれるお墓を探して』と頼まれ、力になりたいと思ったのが、お墓に触手を伸ばしたきっかけです」
布川さんは、つきあいのあるお寺を片っ端から回り、なんと500万円もの寄付を集めた。長年の布川さんの仕事ぶりとお人柄があってこそだろうが、「見えない力が応援してくれたとしか思えない」。
◆「夫に伝えるタイミングを計っているところです」
2007年、鳩山町の北隣、嵐山町の金泉寺というお寺の境内に共同墓を建て、その生活保護の人を埋葬。ホームページで5万円で納骨を受け入れると告知すると、遺骨を持った人や、自分自身が入りたいという人たちが引きも切らなかった(すでに満杯で、受付は終了)。
金泉寺、続いてここ妙光寺にも、1人用(使用料25万円~)、2人用(同45万円~)、ペットと共に入る方式(37万5000円~)などの樹木葬墓地を設け、そして「なでしこ」も…と展開してきたという。
「安価を第一義にしてきましたが、今は外車で納骨に来るかたもいらっしゃる。特に3.11後は『形のあるものは壊れるから、お墓に造形物は要らない』と思って選ぶ人が増えたような気がします」
お墓はやはり時流を表すなあ。と思いながら聞いていたが、「家庭があり、家のお墓があっても、『なでしこ』を契約する人もいます」とも聞き、少なからず驚く。
茨城県に住む専業主婦、岸由香里さん(61才・仮名)もその1人。「40代から、1人でお墓に入りたいと思っていた」と言う。夫は長男で、先祖代々のお墓を継ぐことになる。