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ちゃんこ番30年の力士が教える、食欲が落ちる夏場の工夫

立浪部屋のちゃんこ長・華吹〈序二段・47)

 7月9日に初日を迎える名古屋場所を前に、力士たちは日々鍛錬を積んでいる。その強靱な肉体を作る上で欠かせないのが「ちゃんこ」だ。

 ちゃんこの語源は、長崎方言で大型の中華鍋(チャンクォ)のこととする説と、相撲の興行場所だった両国・回向院境内での炊き出し当番の力士を“ちゃん”と呼んでいたという説がある。力士が作る料理は全てちゃんこと呼ばれ、鍋料理が主役。毎日食べても飽きないように味付けや食べ方が工夫されている。

「食べることも力士の重要な仕事。肉、魚、野菜をバランスよく入れて煮込む。煮込むことで消化もよくなり、体を内側から温める。鍋がスープ代わりとなり、空腹で激しい稽古をしたあとでも箸が進み、すぐに昼寝すればどんどん体が大きくなる。もちろん夏場も鍋が基本です」

 そう語るのは元小結・旭豊の立浪親方。立浪部屋は103年の歴史がある名門だ。

「ウチは本場所初日の前日はしょうゆ味の『鶏ソップ炊き』が定番。牛や豚は、四つん這いの格好が土俵で手をついて負ける姿を連想させるので、この日は入れない」(親方)

 相撲部屋のちゃんこにはいくつかのしきたりがある。食事は朝稽古後と夜の1日2回。親方や関取が食べ終わるまで幕下以下の力士は席にもつけない。

「早く食べたければ稽古に精進して出世すればいい。そういった競争精神は相撲には欠かせない要素。みんなそうやって上を目指してきた」(親方)

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