国内

終末期を家で過ごせなくなったのは日本最大のマイナス点

在宅医療の医師・小笠原文雄さんと室井滋さんが初対談

「最期まで自宅で暮らしたい」と望みながらも、多くの人が病院で最期を迎えているのはなぜか。自宅で最期まで過ごすのは無理だと思っている、あるいは病院の方が長生きできると思っている人も多いだろう。しかし実際には、お金がなくても、ひとり暮らしでも、誰でも最期まで家で朗らかに生きることができ、自宅に帰ったことで余命が延びた人までいる──このたび、そんな奇跡と笑顔のエピソードが詰まった『なんとめでたいご臨終』を著した在宅医療の医師・小笠原文雄さんと、女優・室井滋さんが初対談した。

室井:『なんとめでたいご臨終』を読んで、もう何回も何回も泣きました。いろいろなかたのエピソードが出てきますが、誰一人として同じ人はいなくて、事情もさまざま。ひとり暮らしのかたもいれば、ご家族がいるかたもいます。でも共通するのは、「最期は自分の家に帰って暮らしたい」ということなんですね。

小笠原:そうなんです。みなさん、自分の余命が長くないことを知ると、病院や施設より家がいいとおっしゃいます。今は介護保険制度がありますし、在宅医療の質も向上していますから、ひとり暮らしの末期がんの患者さんでも最期まで家で過ごせるようになりました。

室井:私は富山で生まれ育ったんですが、昔はお医者さんに往診に来てもらうのは当たり前のことでした。わざわざ病院に行くというと、そんなに重い病気なのかなと思っていたくらいで。亡くなるのも必ず家で、家族みんなで看取って、お医者さんが「ご臨終です」と告げて…。

小笠原:それがどこの地域でも、日本の文化でしたね。

室井:でも、東京に出てきて、そういう景色を見なくなりました。私の家族では、祖母と母が病院でしたし、この何十年でずいぶん変わったんだなって。

小笠原:ものすごく変わりました。40年前までは家で亡くなる人が多かったけど、今は約8割の人が病院で亡くなっています。それまで介護を担っていた女性の社会進出で、介護の必要な人を入院させることが増えたこともあって、家で死ねなくなっています。

室井:そういうことなんですか。

関連キーワード

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏(左)と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が対談
【手嶋龍一氏×佐藤優氏対談】第2フェーズに突入した中東情勢の緊迫 イランの核施設の防空網を叩く「能力」と「意志」を匂わせたイスラエル
週刊ポスト
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン