“ケアマネ”のMさんに背中を押されつつ、私が厳選した3軒の老人ホームとサ高住の内覧へ、母を連れて行くことにした。
1軒目は私の家の近くにある老人ホーム。元トラック運転手という豪快な女性施設長が「あたしに任せなさい!」とばかりにぐいぐいリードしてくれる。不安は吹っ飛びそう。
2軒目は私が子供の頃、家族3人で暮らした団地の端にあるサ高住。懐かしい公園や街並みが散歩コースになる。しかも施設長がディーン・フジオカ風でやさしい。イチオシである。
3軒目は同じくサ高住。私の家から自転車で15分。幹線道路沿いのごみごみした場所だが、カフェや図書館もある。にぎやかな商店街が近い。施設長は、いとうせいこう似。
ここで初めて、それまでまったく興味を示さなかった母が反応した。母の心を動かしたのは、心強い介護人でも、思い出の閑静な住宅街でもなかった。生活感満載、活気溢れる商店街のそばだった。
※女性セブン2017年8月10日号