こうした新しい言葉に対しては、おっさんが半端に知ったかぶりをしようとすると、往々にして大けがをします。今ごろになって「最近、インスタ始めたんだよ。やってみるとなかなか楽しいね」なんて得意気に言うのも、本人は「アンテナが鋭い俺」を見せつけたつもりでいるかもしれませんが、周囲の若者は「おいおい、やっとかよ……。ってか、これからわざわざやんなくていいよ」としか思いません。興味を持って始めてみるのはけっこうですが、同年代の友達はさておき、若者には内緒にしておいたほうがいいでしょう。
若者と差別化を図ろうとして、「インスタ映えだかショウジョウバエだか知らないけど、そんなにバシャバシャ撮ってどうするのかねえ」と首をかしげるのも危険。絵にかいたような「今どきの若いもんは言説」でしかないので、それをしたり顔で言える鈍感さや、よく知らない世界を根拠もなく否定できる傲慢さが浮き彫りになるだけです。
おっさんが若者の前で「インスタ映え」という単語を口にしても大丈夫なのは、若者の側から「このお店のメニュー、インスタ映えするって人気なんですよ」といった発言があったときに、「ほお、インスタ映えか」とオウム返しで呟くときぐらい。そう、基本的には口にしないほうが安全。おっさんインスタ映えに近寄らず、です。
ちなみに、キリスト教の最大の祝日であるイースター(復活祭)は、来年は4月1日。もしその日がいいお天気だったら、「今日はインスタ映えしそうなイースター晴れだね」と言うことができます。「来年の春に、きっと使ってやる」と強く心に誓って、今すぐ使いたい欲求を封印しましょう。それはそれで惨事を招きそうな予感がしますが、その頃にはきっともう流行っていないし、そもそもおっさんにそこまでの記憶力はありません。