国内

SNS援交が蔓延 少女たちを食い物にする悪徳業者も存在

SNSで「援」「援助」とは?

 生徒・学生たちの夏休みも終盤、様々な体験を積んでいることだろう。なかには、新学期には、まるで別人になる人もいるかもしれない。それが、彼ら、彼女たちの未来にとって明るい変化であればよいのだが。SNSに広がる謎のハッシュタグ「援」「援助」と、それを利用して脱法管理売春を試みる悪質業者の存在について、ライターの森鷹久氏が追った。

 * * *
 夏休み真っ只中の、8月上旬のある日。東京・池袋の路上のあちこちに、携帯電話を片手に立ちすくむ少女たちの姿があった。公園の入り口、駅構内、交番の横に立つ少女たちは、一見すれば、友達との待ち合わせか、あるいは彼氏とのデートを待ち焦がれているようにも見える。筆者のように穿った見方さえしなければ。

「池袋の“援デリ”がすごい。SNSを巧みに使用する方法で、取締りが全く追いついていない状況」

 こう話すのは、警視庁関係者。援デリとは「援助交際デリヘル」とでもいえばよいだろうか? すなわち「援助交際を装った派遣型性風俗」のことを指す。一般的なデリヘル(派遣型風俗店)との一番の違いは、派遣されてくる女性が、SNSなどを介したやり取りによってやってくる「素人風」の女性である、ということだ。池袋界隈で店舗型性風俗店を営む前田氏(仮名)は、この「援デリ」の台頭により、少女たちが危機にさらされていると断言する。

「性風俗店を営む場合は、店舗型でも派遣型であっても、必ず当局や役所に届け出ます。援デリは業者がやっていることがほとんどだが、そのほとんどはモグリ。逆に言えば、モグリだからこそ援デリをやるしかない。となれば、援デリをやっている業者がまともである訳がなく、そこで働く少女たちも危ない目にあう危険性が非常に高い、ということが言えます」

 池袋駅東口を出て五分ほど歩いたところにあるX公園。白いショートパンツにレイヤードのタンクトップ、ロングの金髪にキャップを被った少女が、スマートフォンを片手に立っていた。10分ほどして現れたのは、スラックスにワイシャツ姿のサラリーマン風の男性。筆者と同じ、30代半ばくらいだろうか。あどけなさの抜けない少女と男性のツーショットには違和感どころか、背景に犯罪めいた何かを想像してしまう。

 2~3分ほど立ち話をした二人は、コンビニへ入ると、飲み物やプリンなどを買い込み近くのラブホテルYに吸い込まれていった。一時間半後、ホテルから一人で出てきた男性は、先ほどのX公園の喫煙所に入り、タバコをくゆらせる。筆者も男性の横に立ち、タバコに火をつけつつ話しかけた。筆者を警察か、もしくは美人局かと疑った男性だが、取材である旨を伝えると素直に応じてくれた。

「ツイッターで“援助してほしい”という書き込みを見て連絡を取り合ったのが先ほどの女の子です。買春だって? とんでもない誤解です。彼女は19才の大学生で、片親で困っていると話していたので三万円支払いました。性行為はしましたが、売春は合法ですよね? 違法なのは管理売春であって、彼女は一人でやっていますよ……」

 男性が筆者に“弁解”をしている頃、ラブホテルYから一人出てきた少女は、池袋駅西口方面へと足早に向かうと、全室ワンルーム型の賃貸マンションに入っていった。3時間ほどして、少女は先ほどと同じ格好でマンションから出てくると、池袋駅北口からすぐのところにあるレンタルビデオ店の入り口に、何かを待つようなそぶりで立つ。そこに現れたのは、またしても40代くらいのサラリーマン風の男性だ。二人は手をつなぎ歩き出すと、どこにも寄らず近くのレンタルルームに入店。今度は2時間近く経って、二人で出てきたかと思えば、落ち合った池袋駅北口付近であっさり別れた。いったい何が起きているのか? 彼女は何者なのか?

「まさに援デリの瞬間です。女性は素人を装い、ツイッターやラインといったSNSで“援助”を呼びかける。いや、ほとんどの場合、業者が少女になりすまして書き込みを行うのです。そこには性行為の種類によって値段が書かれていて、書き込みを見た男性が連絡を取り、会う約束をします。男性は少女たちが、自主的に行っている“援助交際”だと思っているようですが、女性のバックにはモグリの業者がいる。女性たちは金さえもらえば本番行為もやっていますし、管理売春になるので違法です。さらに言えば、モグリ業者だから少女たちの身分もしっかり確認していない。未成年の少女もかなりいると思われ、彼女たちは本当に危うい橋を渡っていることに気がついていない」(前出の前田氏)

 ツイッターに「援」「援助」などと打ち込んで検索してみると、そこには「援助交際」希望の女性のものと思われるアカウントがズラリと並んでいた。本当にこれらの女性たちが、SNSを使って売春行為に手を染めているのか? アイドル顔負けの美少女が、顔出し写真とともに「本番30、口10、手5」などと書き込んでいるわけだから、筆者も思わず見入ってしまうが、にわかに信じがたい。先述のように、業者が少女のふりをして書き込みをしている場合もある。その違和感が何か、少女の写真を画像検索をかけたら、簡単に判明した。

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン