ライフ

交通死亡事故に占める75歳以上 10年で7.4%→13.4%に急増

高齢者の死亡事故が激増している

 超高齢社会が迫るなか、医療・介護現場の人手不足は深刻なままで、あぶれだした高齢者が施設ではなく在宅での「老老介護」を選ぶしかなくなる。そうしたなかで、静かに深刻化している問題がある。認知症の行方不明者が年間1万5000人を超え、かつてないペースで激増しているのだ。

 徘徊した認知症患者が、事故に巻き込まれることがある。責任追及の矛先は、介護している家族に向く。

 2007年、愛知県で認知症の男性が徘徊し、線路内で電車にはねられた事故では、鉄道会社が男性の家族に約720万円の賠償を求め、1審、2審では賠償を命じる判決が下った。最高裁では下級審で「目を離した」とされた90代の妻と60代の長男の責任を認めず、賠償請求が棄却された。

 判決が確定した際には大きく報じられたが、すべての家族の免責を保障するものではない。『認知症の人と家族の会』によると、「訴訟をせず賠償金を払って済ませるケースもある」(阿部佳世事務局長)という。

 加害者になることもあり得る。警察庁が明らかにした認知症患者の起こした交通事故件数は2013年63件、2014年75件、2015年78件と増加を続けている。法政大学の小黒一正教授はこう話す。

「交通死亡事故に占める75歳以上の人が起こす事故の割合は、直近10年間で7.4%から13.5%に急増している。重大事故寸前の“ヒヤリハット”も数多い。その対策として今年3月に改正道交法が施行されましたが、認知症患者による大事故は今後、確実に増えていき、さらなる手立てが必要になるでしょう」

※週刊ポスト2017年9月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト