新政府の検事であり画家でもあった床次正精が描いた西郷は、軍服姿で険しい表情を浮かべる。薩摩藩士だった床次は西郷と面識があり、西南戦争後、自らの記憶を頼りに多くの肖像画を描いた。

 床次はそれらを西郷従道や黒田清隆らに見せて意見を伺い、何度も修正した。従道や黒田らは完成した絵を見て喜び、「南洲翁に接するが如し」と称賛したと伝えられる。

 2003年に発見されたのは、大分県日田市の文人僧・平野五岳が描いた肖像画。 言い伝えによると、平野は西南戦争が勃発する4か月前、大久保利通の密命を受けて鹿児島を訪れて西郷と面会し、決起を思いとどまるよう説得した。当時の様子を西郷の没後10年経ってから描いたとされる。

 どれが「本当の顔」に近いのか。西郷の曾孫で陶芸家の西郷隆文氏が語る。

「親族の言い伝えでは西郷はひげを生やさなかったので服部画は信用できず、平野画は老けすぎの印象です。最も似ていると思うのはキヨッソーネの肖像画。確かにモンタージュですが西郷の死後5~6年ほどで作製され、鹿児島で西郷と親しかった人々のチェックを受けており、信憑性が高いと思いますね」

※SAPIO2017年10月号

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