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2017.11.18 16:00  週刊ポスト

漂白された頭部と白髪ひげのドラえもんを画家が描いた意図

町田久美作『星霜』 (c)Kumi Machida (c)Fujiko-Pro

「あなたのドラえもんをつくってください」とのメッセージを受け取った28組のアーティストによる新作を集めた「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」。画家の町田久美さんによる絵画『星霜』は、和紙に墨で描かれた日本画。力強い輪郭線は超微細なドットと線の集積で、鼻のラインだけでも1~2週間かけている力作だ。町田さんが同作について語る。

 * * *
『ドラえもん』は『コロコロコミック』の創刊号(1977年)から読んでいて、横向きの顔は歴代の表紙デザインのひとつなんです。このむにっと輪郭からはみ出る唇のラインがたまらなく好きで、ここをしっかり描いてみたいと思ったのも、横顔を選んだ理由です。

 私より1年早く生まれたドラえもんは現代の子供たちにも変わらず愛され、きっとこの先の未来でも子供たちに愛されていく。そうした普遍的な存在への愛情を込めて、作品を『星霜』と名付けました。

 物語の世界でも、ドラえもんは人類が滅亡しても幾星霜を経て生き続けるでしょう。切ないような孤独を抱えながらもセンチメンタルな気持ちをグッと堪えて、時を凝視する──そんなドラえもんのイメージを横顔の佇まいで、長い歳月を生きた先の姿を漂白された頭部や“白髪”になったひげで表現しています。

 頭部には光沢のある白でつやつやのメカっぽい質感を出し、ひげには日本人の黒髪の色が抜けたような、黄みがかった白を入れました。ドラえもんを象徴するあのブルーや星霜を想起させるモチーフも密かにちりばめています。ぜひ近くに寄って、肉眼で作品に触れていただけたら嬉しく思います。

●まちだ・くみ/1970年、群馬県生まれ。画家。2005年より東京・西村画廊で個展。2008年、文化庁新進芸術家海外留学制度でデンマークへ。国内外で展覧会多数。2012年に『町田久美画集』(青幻舎)刊行。2016年より武蔵野美術大学造形学部油絵学科客員教授。

◆「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」は2018年1月8日まで、森アーツセンターギャラリーで開催(東京・六本木ヒルズ)。【開館時間】10~20時(火曜は17時まで)【休館】会期中無休。

※週刊ポスト2017年11月24日号

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