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余命宣告反対の医師「死刑執行日宣告された気分の人もいる」

理想の逝き方を叶えるためには

 がんなど命にかかわる病気にかかった際に、医師が患者に行なう「余命宣告」。基本的には病気が進行しており、治る見込みが少ない患者に対して告げられる。

 不動産業を営む川口啓介さん(58、仮名)は、2年前、スキルス胃がんと診断された。妻とともに説明を受けたときのことを振り返る。

「医者からは、ステージ(進行度合)の説明もなく、唐突に『これから1か月程度かけて、体重が20kgほど落ちるかもしれません』と言われました。何のことを言われているのか、さっぱりわからなかった」

 医師はその後も、川口さんの体にどんな変化が起きるかを淡々と説明していく。

「色々言われたと思うんですけど、正直あまり覚えていません。『自分がもう死んでしまうのか』という絶望で頭が一杯でした。

 すると妻が『どれくらい進んでるんですか』と訊いたんです。そうしたら、医者は『ステージ4。あと1年ぐらいかもしれません』と……あまりにあっさり言われたので、その瞬間、『なんで、オレが!』と、怒りがこみ上げてきました。妻はうろたえて、カバンのふたを開けたり閉めたりを延々と繰り返していました」(川口さん)

 川口さんはその後、胃の全摘手術を受け、幸いなことに予後は良好だという。

「他の臓器へのがんの浸透度合いが思ったよりも酷くなかったらしいんです。手術後、体力が落ちたぐらいで今のところ元気。抗がん剤も飲んでいません。

 がんだとわかった直後は家族も腫れ物に触るみたいに接してきたんですけど、それが余計に気持ちを暗くさせた。余命だった1年を過ぎたころには普通に接してくれるようになった」

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