散歩ばかりしているという作家で劇団「鉄割アルバトロスケット」主宰の作家・戌井昭人氏による週刊ポスト連載「なにか落ちてる」より、忘年会で嫌いな先輩と同席しなくてはならなくなった時はどう対処すればよいか──この難題についての戌井氏の考えを紹介する。
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忘年会シーズン、そろそろ街には酔っ払いが溢れ出している頃だと思います。しかし忘年会だからといって楽しいだけではありません。行きたくない人もいるかもしれません。なぜなら酒の場で、先輩からの説教など、面倒なことが勃発するかもしれないからです。
最近のお相撲さんのように、先輩の小言に不貞腐れたら殴られてしまうかもしれません。後輩の方々は気をつけましょう。そして先輩の方々も暴力問題にならないよう、モノで殴らないようにしましょう。
わたし自身、いままでフザケタ生き方ゆえ、随分と学校の先輩や仕事先の先輩、劇場関係者の方々などに色々と説教されてきました。
あれは大学の頃、いつもリーゼントを決めた山形訛りの先輩に、何かと文句を言われていたのですが、あるとき「オメエは、俺のこと嫌いだろ」と言われ、「はい、嫌いです」と答え、余計怒られたことがあります。
そもそも、その先輩は、「カッパを見たことがある」というのが自慢で、後輩にカッパのことを熱心に語っているような人でした。いま考えれば、とてもユニークな先輩だったのですが、当時のわたしは、リーゼントで先輩風を吹かせながらカッパのことを語るというのが、どうにも気に食わなくて、馬鹿にしていたのです。その後は、目が合えば睨み合い、一触即発の状態でした。