家族がいる場合、大学の納骨堂には入れないケースが一般的だが、“葬儀代の節約”になるのは事実だ。
もちろん、本来の制度の趣旨からすればそうした利用法は許されない。ただ、自発的な申し出がベースとなるが故の盲点もある。篤志解剖全国連合会会長の松村譲兒・杏林大学教授が語る。
「お墓がないことや家族の経済事情などを理由とした献体登録は原則としてできません。しかし、ご本人が“医学に貢献するという趣旨を理解した上で献体したい”と申告すれば、それが本心からかを検証する術がないのも事実です」
登録に際し、家族と立ち会いのもと面接を行なう大学もあるが、妻や家族の“切実なお願い”を受けての、「心底から望んでいるわけではない献体」を見分けるのは難しい。家族に「献体」という選択肢を突きつけられた時、どんな答えをすべきなのか。
※週刊ポスト2017年12月22日号