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102歳の和菓子屋看板娘「店に出ないと心配されちゃうから」

接客歴は80年以上に及ぶ

 千葉県の成田市から電車で1時間ほど。千葉県香取郡ののどかな田園に囲まれた一角にある和菓子店『菓心あづき庵』。80年間店に立ち続ける「看板娘」が笑顔で接客をしてくれる。

「生まれは大正4年の2月14日、バレンタインデーなんです」

 そう言ってはにかむような笑顔を浮かべたのは、田谷きみさん(102)。今でも店頭に立ち続け、使い慣れたそろばんで会計などの接客をこなす。

「朝5時に起きて、7時半には店に来て商品ケースをきれいに磨いて、8時から店番。夕方になったら床にモップをかけて掃除します。

 店はお饅頭屋さんで修行してきた夫が、のれんを分けてもらって出したのよ。戦争中はお菓子を作る材料が手に入らなくなったので、ボールペンとか手拭いとか、食べ物だったらポン菓子とか何でも売り物にしました。その夫は戦中に34歳で亡くなりました。今は仕事は若い人にやってもらって逃げています。ふふふっ」

 現在は孫の田谷等さん(54)が3代目として菓子作りを担っている。

「多くの饅頭屋さんはみんな製餡屋から餡を仕入れているんですよ。でもウチは3代目が北海道のいい豆を自分で買ってきて、じいちゃんやばあちゃん(きみさんの息子夫婦)が奥であんこ炊きをやってるの。

 家族でやっているから、こんなに歳取っても使われちゃう(笑い)。だからいつも3代目とケンカしてるの。他のおばあちゃんみたいにひなたぼっこして、お茶飲んで、そういう生活したいな~って言ったら、『おばあちゃん、ボケちゃうよ』って。ひどいわよねぇ(笑い)」

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