昨年10月に行われたチェコの下院選挙で、新興政党「自由と直接民主主義」(SPD)が第三党に躍進を遂げた。同党を率いるのが日系人の実業家、トミオ・オカムラ氏(45)だ。反EU、反イスラム主義から、「チェコのトランプ」と呼ばれる。同氏の真意に、せまった。
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「チェコ人によるチェコ人のための国」。ここに、私の目指す政治がある。われわれ(人口1057万人)は、EU離脱をもっとも強く願う国民だ。EUのエリートたちは、私のことを人種差別主義者と騒ぎ立てる。が、私は不法滞在者が良くないと思うのであって、外国人排斥を訴えているのでは決してない。
建前上、EUは多様性を求めているが、現実は難民や移民による治安悪化は免れない。さらには、チェコ人から仕事が奪われている。それはおかしい。そんなごく当たり前のことを、私は提言しているに過ぎない。日本であれば、このような考えは常識で、問題にすらならないはずである。
では、なぜ、“極右”のようなレッテルを貼られるのか。それは、チェコの腐敗政治が背景にある。特に、EUからファンド(助成金)を得ているマスコミがひどい。今もアンドレイ・バビシュ新首相がチェコの主要紙『ドネス』を買収し、私が築いた新党SPDを叩き潰そうとしている。私の発言内容をでっち上げ、そのフェイクニュースを世界に配信しているのだ。
様々な誤解が広まっているが、SPDが掲げる要の政策が「直接国民投票」だ。国の政策は国民が決める。これこそ、私が理想とする社会であり、チェコ共和国の姿である。国民の85%がEUに不満を抱いている。これを実現できれば、チェコは、自ずと“チェグジット”(チェコのEU離脱)に向かうだろう。