中国当局が欧米や日本の大手企業約30社に対して、それら企業のホームページなどで台湾や香港、マカオ、チベットなどを「国家」として扱っているとして、「中国の主権問題にかかわる」と修正と謝罪を求めていることが分かった。大手企業にとって中国は重要な市場だけに、中国の要求に抵抗するわけにもいかず、大半の企業が中国側の言い分に従っている。
しかし、これらの企業はホテルや航空会社が多く、ネット上では、「(中国航空大手の)南方航空のホームページにも、台湾を国として扱っている。当局はどうする?」などとの書き込みがみられ、中国内でも波紋を広げているようだ。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
中国当局が修正と謝罪を求めたのは米ホテルチェーンのマリオットのほか、スペインのアパレル大手ZARA、米医療機器大手「メドトロニック」のほか、米デルタ航空など航空会社24社を含めた計約30社に及ぶ。
このうち、マリオットは1月初め、一部のポイントカード会員に対して行ったアンケートのなかで、台湾や香港、マカオ、それにチベットを「国家」として扱ったという。このため、中国上海市ネット情報統制局が今月中旬、同社の中国語版ホームページなどを1週間閉鎖。同社はすでに、ソーシャルメディアを通じて「中国の主権と領土が完全であることを一貫して尊重し支持する」との謝罪声明を4度にわたって公表している。
マリオットの場合、香港やマカオ、台湾にも系列のホテルを経営しており、香港人や台湾人の利用者が多く、彼らに配慮したことは理解できよう。