「私の小説がセンター試験に使われたというので解いてみたのですが、やっぱり難しかったですね……」
そう語るのは、直木賞作家の井上荒野氏だ。1月13日に行なわれた大学入試センター試験・国語の問題で、井上氏の小説『キュウリいろいろ』が採用されたので、井上氏自ら「解いてみた」というのだ。井上氏が続ける。
「どうにか全問正解だったので良かったです(笑い)。小説の読解に正解はないと考えていますが、今回の問題は間違いの選択肢に『明らかにこんなことは書かれていない』という記述が含まれていて、消去法で選べるようになっていた気がします。
ただ、『問6』の小説のテクニックについての設問では、たぶん多くの小説家が無意識にやっていることの理由を厳密に問うていました。受験生には相当難しかったのではないかと思います」
各大学・高校の入試も含めれば、毎年、数多くの文学作品が出題文に採用されるが、なかには作品の著者でさえ“正解”に辿り着けないケースもある。
日本身体文化研究所代表理事で、武蔵野美術大学講師の矢田部英正氏は、「毎年3~5校の問題に採用されていますが、6割くらいしか正解できなかったことがあった」と笑う。