同誌2月号では、”鉄道と風景”と銘打った特集を組んでいる。誌面では、鉄道カメラマンたちが鉄道をうまく撮影するためのコツを披歴。その特集内の一コーナーに、撮り鉄のマナーアップを目指す “嫌われない「撮り鉄」になるために!”という記事があるのだ。
“嫌われない「撮り鉄」になるために!”は、読者でもある撮り鉄を敵に回しかねない内容だが、「最初からマナーを守るつもりがないカメラマンは、読者としていりません」と厳しい口調で語るのは同誌の佐々木広人編集長だ。
佐々木編集長は、『週刊朝日』編集部の出身。販売部を経て、2013年9月に『アサヒカメラ』副編集長に就任した。『アサヒカメラ』編集部に移籍してきた当初は、個人的にカメラを楽しむレベルで、特にカメラや写真撮影に深い造詣を持っているわけではなかった。
佐々木編集長は『アサヒカメラ』を担当し、新製品情報やプロカメラマンの写真が掲載されるだけのカメラ雑誌の在り方に不満を抱くようになる。プロの写真を見たければ展覧会に足を運べばいいし、ネットにも素晴らしい写真はたくさんある。
佐々木編集長は「上手な写真を見るだけ学べるという意見もあるが、『どうやったら、こんな写真を撮れるのか?』という上達のためのテクニックの解説は必要だと思った」と編集方針を明かす。
編集長に昇格後、2015年1月号から誌面のリニューアルを敢行。翌月には、さっそく鉄道特集を組んだ。以降、毎年2月号は鉄道撮影の特集を組んできた。
「『アサヒカメラ』は、カメラの知識や撮影技術、新製品情報も掲載していますが、写真愛好家の間で話題になることが多い、写真をパクられたときの著作権問題やスナップ写真を公開したときの肖像権問題といった最近の時事問題を取り上げるようにしています」(佐々木編集長)
“攻める”編集方針と問題意識から生まれた連載が、今回で10回目を迎える「写真好きの法律&マナー」だった。そして、”特集 鉄道と風景”に合わせる形で、今回の連載は”嫌われない「撮り鉄」になるために!”になった。
”嫌われない「撮り鉄」になるために!”では、これまで最近の撮り鉄事件が網羅されており、それらはマナーといったレベルのものではなく不法侵入・器物破損・鉄道営業法違反・威力業務妨害といった違法行為であると断じている。
実は、佐々木編集長体制になってから鉄道特集は通算4回目。撮り鉄のマナー問題を取り上げたのは、今回が初めてではない。佐々木編集長は、繰り返し撮影マナー向上を考える啓発記事を発信してきた。