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川崎大師のお膝元 創業100年の角打ちは揚げたて串カツが人気

角打ちできるスペースが増えて、ますます居心地の良い雰囲気になった

 厄除けのお大師様として親しまれ、初詣客が毎年300万人も訪れる川崎大師(平間寺・へいけんじ)。そのお膝元ともいえる川崎市川崎区日ノ出で大正年間に創業し、酒屋、そして角打ちの歴史の糸を100年にわたって紡いでいるのが『倉形屋(くらかたや)酒店』だ。
 
 38歳の時に3代目を継ぎ、やがて40年になる倉形公雄さん(78歳)が、常連客の誰もから慕われているやさしい笑顔で、ちょっと昔を振り返ってくれた。
 
「おかげさまで配達を中心に酒屋業は多忙でした。角打ちは、創業当時から続いていて、その時代ごとにずっと贔屓にしてくれている常連の皆さんがいる。なので、忙しいからといって、(角打ちを)辞めるわけにもいきませんでしょ。だから、心ならずも乾き物を肴にカウンターで飲んでもらう、昔のままのスタイルで続けていたんです。

 それが、12年ほど前から息子の公也(ただや・45歳)が4代目として働いてくれるようになったら、私の仕事に時間的な余裕ができましてね。ちゃんと免許を取って料理を出せるようにしたり、冬場は炬燵を作って、そこで飲めるようにしたりと、ちょっと雰囲気を変えました。実は、お客さんに喜んでもらいたいと、3代目を継いだころからずっと考えていたことなんですよ」。
 
 この店の常連客のなかには、各業種のプロがたくさんいた。大工さん、建具屋さん、デザイナー、そして玄人はだしのDIY好きサラリーマン等々。

 そんな彼らが、自分たちがより気持ちよく飲めるようにと、倉形さんの思いも引き受けて、雰囲気作りを積極的に手伝ったという。

「以前は玄関の間口が広すぎて冬は寒かったんだよ。そこで、テレビを見ながらゆっくり温かく飲めるブースを作ったし、入口にドアを拵えたんだ。もちろん、いろんな人の手でね。昔から馴染んでる酒棚などはちゃんと残っているし、こういう店は、客が雰囲気も含めて作っていくもんでしょ。親父(倉形さん)も客のみんなも、今の店、気に入ってますよ」(60代、元大工職人)

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