四郎:あとは、海苔がシャリの水分を吸ってくっつくまで落ち着かせる必要はあるけど、あまり時間が経ちすぎると海苔が縮んで巻きづらくなっちゃうんだ。材料はあらかじめ並べて、手順を覚えたら、手早く巻く!
亜矢:神保くんはツメが甘いのよ…。せっかく巻けたと思ったのに、切る時に押しつぶして、パンダの顔がぺちゃんこだったわ。包丁は大きく動かして切ること。1回ずつ布巾で濡らして粘りも取りながら、が基本よ。
四郎:フィーリングだけじゃダメってことだね。
──細巻きが苦手というプロも実は多いという。
四郎:学校で巻き方を教わると、外で食べる時、細巻きへのチェックも厳しくなってくるよね。パンクしてたり、隅っこにシャリが入ってなかったり、切り口がまっすぐじゃなかったりするとまだまだだなあって…。一見地味な細巻きだけど、結構技術が詰まっているんだ。
亜矢:あら、随分言えるようになったのね。かっぱ巻きで、きゅうりを巻き込めなかった人が(笑い)。
四郎:ぎえ~! それは言わない約束!
亜矢:ふっ。個人的には、飾り巻きよりシンプルな細巻きの方がシャリの配分が難しかったわ。シャリのおき方のコツをつかむまで、海苔の大きさにカットした布巾で何度も練習をしたわね。
四郎:手にシャリがついちゃうのも苦労した。それに1本を6等分に切るのも難しいんだ。寿司職人は、定規の代わりになるもの、自分の手や包丁などで大体○cmっていう目安を作って頭に叩き込んでいるんだよ。
亜矢:太さのある飾り巻きと違って、細巻きは「前・後ろ・前」と、包丁を1往復半させて切る。そのときは刃の幅が狭い刃先を使うと、包丁に触れる部分が少ないから、シャリの粘りがつきにくいの。
四郎:ちょっとのコツできれいな細巻きが完成するんだ。
■『まんがで学ぶ寿司の技術 東京すしアカデミーの授業』(まんが/高田千種 監修/東京すしアカデミー、小学館刊、1404円)
最短2か月で寿司職人になれる人気の寿司スクール「東京すしアカデミー」の授業をまんがで再現した書籍『まんがで学ぶ寿司の技術』。調理経験ゼロでプラス思考の主人公・神保四郎としっかり者の同級生・鎌田亜矢の奮闘と成長を楽しく読み進むうちに、初心者でも寿司職人の技術を理解し、身につくようになっている。今回紹介した「巻き」以外にも、炊飯・シャリ切り、握り、切りつけ、あじの3枚おろしなどのまんがも収録。解説記事も充実している。
※女性セブン2018年3月8日号