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シニアの交通事故 高齢ドライバーの増加率を見れば減少傾向

シニアの事故報道を見る機会は増えたが(時事通信フォト、静岡県警提供)

〈世の中には3種類の嘘がある。『普通の嘘』、『大嘘』、そして『統計』だ〉──19世紀イギリスで首相を務めたベンジャミン・ディズレーリの言葉だ。

 根拠に乏しい理論ほど、統計が頻繁に用いられることを見抜いた至言であるが、この国にも“統計の皮を被った嘘”はあちこちにある。「裁量労働制」にまつわる厚生労働省の杜撰なデータを安倍晋三首相が国会で使った件などはその最たるものだろう。

 この手法は高齢者バッシングにも使われている。例えば、最近メディアでは逆走や急発進などが報道されることが多く、高齢者の交通事故増加は世間の共通認識となった感がある。もちろん反射神経などの衰えによって運転技術が落ちてしまうのは事実であり、それが社会的な解決すべき課題であることは間違いない。

 しかし、年齢別の交通事故件数や免許証保有人口などの各種データを紐解くと、「高齢者は事故を起こしやすい」という結論は見出せない。

 警察庁の統計「交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」によれば、2016年の65歳以上のドライバーの交通事故件数は9万6877件。(高齢ドライバー問題が世間で顕在化する前の)2006年は9万9878件だから、ほとんど変わらない。

 65歳以上の免許保有者は2006年に1038万8859人だったのが、2016年には1768万387人と約1.7倍になっている。高齢者ドライバーの増加率を考慮すれば事故件数は「減っている」ことになる。

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