長野県大町市。自然豊かな南アルプスの麓に、『キャッツ』や『オペラ座の怪人』『ライオンキング』『リトルマーメイド』『ノートルダムの鐘』などで知られ、今年創立65周年を迎えた劇団四季の歩みが詰まったお宝の保管庫があった。その名も「四季演劇資料センター」。なぜ長野にあるかというと、日本の“へそ”に位置するからだ。全国で公演する四季ゆえの立地だ。
一般非公開の15棟の建物には現在、約50演目の舞台装置、衣裳、カツラ、音響や照明など、ありとあらゆるものが整理され、大切に保管されている。
年間約3000ステージをこなす四季は、一定期間で上演する演目を入れ替えていく。1983年に開幕した『キャッツ』などロングラン作品も多く抱えるため、衣裳や装置はおのずと長く使い続けることになる。センターに常駐している技術部・ジェネラルマネジメントスタッフの中山正蔵氏がいう。
「初演から使用している貴重なものもありますし、新作ごとに道具は増えていく一方です。この場所は閉幕した劇場から道具を引き取る場であり、開幕する劇場へ送り出す場でもある。再演が決まれば、スタッフがすべての道具の状態を確認し、必要であれば補修をして本番に備えます」
保管されている膨大な道具はひと通り把握している。