いま、空前のマラソンブームで、日本のランニング人口は1000万人を超えているといわれている。全国でマラソン大会も開催され、参加者も多い。こうしたブームのなかで、マラソン大会で死亡した人は、1992~2011年の約20年間で100人以上を数える。東京マラソンでは死亡者は出ていないが、過去11回の大会で38万人の出場者のうち8人が心停止したと報告されている。
ランニングをすると、交感神経が過緊張になり、心臓に負担がかかる。特にゴール直前、心臓に鞭を打って最後のがんばりをしようというところで、心臓にトラブルが起こるのだと思っていた。
だが、ランニング中の心臓トラブルは、日常的な過剰運動による低テストステロン症の可能性が高いというのは、少し驚きだった。1週間に50キロ以上ランニングをしている人は死亡リスクが高くなるといわれている。
ぼくはマラソンが苦手だから、ウォーキングをする。3分間の速歩きと、3分間のゆっくり歩きを交互に繰り返しながら18分ほど歩く。ウォーキングの前には、前述のスクワットを10回ほどすると、運動効果が上がる。
こうした適度な運動をすることで、筋力がアップし、テストステロンも復活していく。その結果、元気が出てきて、物事に果敢に挑戦する意欲やバイタリティが生まれてくるのだ。もちろん、男性の性的機能も元気になっていくはずである。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『人間の値打ち』『忖度バカ』。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号