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低温流通システム整備によりアニサキス食中毒が増加した皮肉

アニサキスは肉眼でも確認できる(厚労省HPより)

 近年、やたらと耳にするアニサキスという寄生虫による食中毒。今年は4月末までの時点で61件も発生しており、過去最悪のペースだという。

 アニサキスといえばサバという印象が強いが、今が旬の初ガツオや、アジ、イワシ、サンマといった身近な青魚にも寄生している可能性があるという。どんな虫なのか。愛知医科大学客員教授・伊藤誠氏が解説する。

「アニサキスは、そもそもクジラの寄生虫です。アニサキスの卵がクジラの糞とともに海中に出ると、それをプランクトンなどが食べ、それをまた小魚が食べるというように移っていき、その過程で幼虫となります。サバやカツオは小魚をたくさん食べるので、アニサキスが寄生しやすい。魚を介して人間の体内に入ると、今度は胃や腸から体の他部位に侵入しようとするのです」

 激しい痛みや嘔吐などの症状を招くのはそのときだ。

「アニサキスが侵入しようとするときに出す分泌液がアレルギー反応を引き起こすので、全身に蕁麻疹が出る人もいます」(同前)

 魚のなかでも、特に内臓に近い部位に付着しやすいという。寄生虫学が専門の宮崎大学医学部教授・丸山治彦氏が注意を促す。

「アニサキスはもともと魚の内臓の表面に付着していて、魚が死ぬと内臓から身の方に移動していく性質を持っているので、内臓に近い部位ほど危険性が高いのです。腹に近い、脂の乗っている部位が要注意です」

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