この危険な寄生虫による被害が近年急増している背景には、アニサキスによる被害の認知が広まって申告者が増えたことが前提としてあるが、他に意外な事情もある。
「アニサキスは本来、マイナス20℃で24時間冷凍されれば死滅します。ところが近年は冷凍しなくても輸送できる低温流通システムが整備されたことで、かつては冷凍しないと出荷できなかった魚を生食できるようになりました。それに伴い、一旦冷凍された魚よりも、冷蔵状態で運ばれた魚を好む人が増えた。そのことが、アニサキスによる食中毒が増えている一因になっています」(東京都福祉保健局担当者)
皮肉なことに、魚の鮮度が保たれているほどアニサキスにとっても“生き延びやすい環境”になっているということだ。
※週刊ポスト2018年6月8日号