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老人ホーム事故 家族に伝えられるかどうかの境界線は?

家族には伝えられないこともある

 全国112自治体に報告されている有料老人ホームで起きた事故は年間1万2200件に上る──本誌・週刊ポスト(6月11日発売号)で本誌が調査して分かった衝撃の事実だ。

 レポートを読んだ読者からこのような問い合わせが相次いだ。「こうした事故は私たち家族に伝えられているのでしょうか」。その疑問を追っていくと、新たな大問題が浮かんできた。事故には、必ず家族に伝えられるケースと、対応がまちまちになるケースがある。最大の線引きは「医療機関を受診したか」だ。介護評論家の佐藤恒伯氏はこう指摘する。

「入居者がケガをして病院を受診すれば本人、もしくは家族が治療費を払う。隠すこと自体が不可能なので、必然的に家族に報告されることになります」

「骨折」は医師の診断が伴う事故なので、家族にほぼ確実に伝えられるが、「打撲」は病院に行かないケースも多い。そうした“病院受診のない事故”はブラックボックスとなりやすい。

 飲食物が気管に入ると「誤嚥」になり、「事故」となる。本誌調査によると「誤嚥」は1年で357件起こり、そのうち72件が死亡していた。それほどの“重大事故”にもかかわらず、隠そうとする施設はある。関東の中規模介護付き有料老人ホームの職員が明かす。

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