国内

学費ゼロで医師になれる「防衛医科大学校」の厳しい教育内容

宇宙飛行士の金井宣茂氏も防衛医大出身で自衛隊の医官となった(時事通信フォト)

 2018年現在、日本に医師は約32万人。体調をくずしたり、怪我をしたりした時に、私たちの前に白衣を着て現れる医師。テレビドラマや漫画、小説の中でもさまざまな医師たちが活躍している。その多くは「○○大学医学部卒業」という学歴だが、一部にちょっと変わった大学を卒業した医師もいる。

 それが埼玉県所沢市にある「防衛医科大学校」だ。法的には一般の大学と違い、防衛大学校や警察大学校と同じ「省庁大学校」に分類されており、医師たる幹部自衛官=「医官」を養成する日本唯一の医科大学校とされている。

 一般的な医学部では、学費だけでも私立なら約3000万円、国立なら約350万円。ほかに教材や実習備品代もかかる。だが、防衛医科大学校なら全寮制で学費は無料。しかも毎月約11万円の手当まで支給される。もちろん、超難関校だ。

 防衛医大を卒業すると、9年間、自衛隊で勤務する義務が生じる。この任官を拒否したり9年間勤務する前に自衛隊を離職したりする場合には、多額の経費を返納しなければならない。実際に、2013年3月の卒業生の「償還金最高額」はなんと4603万円とされる。

「自衛隊のお医者さん」である医官には、士官と医師、ふたつのエリートとしての能力が求められる。体力と知力を兼ね備える、まるで“賢者”のような能力を求められるのだ。そのため、将来の自衛官として厳しい規律をたたき込まれることになる。

 同校を舞台にして話題になっている漫画『賢者の学び舎 防衛医科大学校物語』(ビッグコミックスペリオールで連載中)でも、主人公の真木賢人(まき・けんじん)が上級生から「アイロンのかけ方」や「居室の整頓」といった細かい部分に至るまで厳しい指導を受けるシーンが描かれているが、それも事実なのだ。

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