「薬に副作用があること」は誰もが知っている。しかし、いざ副作用が自分の身に生じたとき、ただちにそれが飲んでいる薬の副作用によるものだと気付く人は少ない。その理由として、医薬情報研究所取締役で薬剤師の堀美智子氏は、「そもそも副作用の初期症状が周知されているとは言い難い」ことを挙げる。だからこそ、薬の副作用について知っておくことは重要になる。
外は太陽が照り付ける灼熱地獄、屋内はエアコンの効きすぎで冷蔵庫状態──この季節は寒暖差の激しい環境に置かれ、体調を崩しがちだ。例えば、「熱が出た」「のどが痛い」などの症状で、風邪薬を飲んでもなかなか改善しないような場合、「夏風邪はしつこいから」などと放置してしまうと危険だという。
「熱が出てのどの痛みがあると、一般的にはまず風邪を疑いますが、薬を服用している場合、『無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)』の可能性が考えられます。白血球のうちの好中球が減少してしまうことで、細菌に抵抗できなくなり、感染症を発症しやすくなる。肺炎や敗血症を引き起こし、最悪の場合は生命を脅かす危険が生じます」(堀氏)
副作用として無顆粒球症を生じる可能性がある薬は、関節リウマチや関節炎の治療に使われる「アクテムラ」などがある。
「単なる体調不良」だと思っていた症状も、薬の副作用かもしれないのだ。ただし、前出・堀氏は「過剰に恐れてはいけない」とも注意喚起する。
「最も危険なのは、副作用を恐れるあまり、自己判断で服用をやめてしまうこと。『副作用かも』と思ったら、必ず医師や薬剤師に相談してほしい」
※週刊ポスト2018年8月10日号