8月18日・19日、都内最大の中高進学相談会が開かれる。中高といっても、この時期は高校受験生が主となる。高校受験といえば、今春の入試では都立高校の志望者が3000人も減少したことが大きな話題になった。なぜそのようなことが起こったのだろうか──。来春に向けて合同相談会、学校説明会に足を運ぶ前に知っておきたい情報を、安田教育研究所代表の安田理氏が整理する。
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2018年度は都立高校の志望者が3000名減り、3次募集までしたことが新聞、テレビでも報じられ、大きな話題になりました。私自身も朝日新聞、NHKニュースの取材を受けるなどしたので印象が強いものでした。
1月に公表された中学校校長会調査の資料から、少し具体的に記してみましょう。
・全日制都立志望者数は5万2497人で、昨年より3045人減少。割合は68.2%で、昨年の71.1%から大きく低下。
・都立高校全体の平均志望倍率は、1.28倍で、この10年間で最も低い値に。
これが試験本番でも下記のような状況になりました。
・推薦で2238名減の2万5002名が受検、一般では2790名減の4万2719名が受検。推薦では高倍率に対する敬遠傾向からこれまでも減少傾向が続いていたが、一般では1.41倍→1.41倍→1.42倍→1.42倍→1.38倍と、ほぼ一定で推移していた実質倍率が大きく低下。
・定員割れ校も増えたため前年の1138名を上回る1647名を2次で募集したが1000名しか受検せず、うち945名が合格。さらに例のない3次募集まで行い、31校で433名を募集したが応募者はわずか26名。
このように驚くような動向が見られたのが2018年度入試でした。
◆私立高校は推薦入試で受験
先の中学校校長会調査では私立高校志望は下記のようになっていました。
・私立等志望者数(国立、他県公立を含む男女計)は1万7749人で、昨年より1535人(男子768人、女子767人)増加。割合は、昨年→今年で男子が22.7%→25.0%、女子は18.7%→21.0%と、2012年以降で最高値に。
都立高校志望者が減った分そのままではないですが(都内公立中学校卒業生数自体が871人減少)、私立高校志望者が増えていました(このほか通信制高校志望が増えたことが今春入試のもう一つの動向)。
7月13日に都生活文化局から発表になった都内私立高校の今年の入学状況の概要を見てみると、
・推薦入試での入学者数は、1万5939人→1万7206人と1267人増。
・一般入試での入学者数は、2万158人→1万9361人と797人減。
一般入試が減っていて推薦入試が増えているということは、中学校校長会調査の段階から私立高校第一志望であって、都立高校の併願は考えていなかったことがわかります。